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外貨投資 転ばぬ先の智慧
外国為替古今東西

2009年12月 7日

●第245回 米国の強気材料は素直にドル買い?

日銀も罪なことをするものだ...。11月20日の「デフレ宣言」以降、3日~5日ぐらいで日銀は何らかの「回答」を出すのではないか、場合によっては為替介入も...という思いもあって、88円台半ば前後でドル円を買い仕込んだ投資家は少なくない。そんな投資家たちのストップロス・オーダーが、日銀の動きの鈍さやドバイショックなどで一気に巻き込まれ、一時的にも85円割れの水準に至るまでスルスルと値を下げたというのが実情だろう。
逆に、12月1日の金融緩和策発表後は、ドル/円が一定の戻りを試すなか「おのずと戻りは限られる(=日銀の緩和策は不十分)」と踏んだ投資家がドル/円にショートを振った。そこに、先週末(4日)の米雇用統計&失業率における驚きのデータが噴出したことで、またまた売り方のストップ・ロスを巻き込んでの急上昇と相成った模様だ。
先週の本欄で指摘したように、11月27日に見られたドル/円の下げは、ある意味、セリング・クライマックスであったと見てよさそうだ。そもそも、そのような状況を醸したのも、日銀が政府のデフレ宣言から10日も経って、ようやくデフレの認定と金融緩和を行ったことによる。「どうせなら、もう少し早いタイミングで金融緩和策を打ち出してくれていれば...」と恨み節の一つも吐きたくなる投資家は少なくないだろう。

それにしても...4日に発表された米雇用統計&失業率はサプライズであった。
それに加えて驚きであったのは、雇用統計&失業率に極めて強い数値が出たのにもかかわらず、一気にドル買いが進んだことである。このところの基本的な「パターン」からすれば、リスク選好ムードの高まりを背景とする「ドル売り」で反応するところではないのか? このことに関しては「雇用統計があまりに大きなサプライズだったので、とにかく一旦ポジションを閉じておこうとする動きが、いわばパニック的なドル買いにつながった」と見る市場関係者が少なくない。依然として「異例の超低金利が長期間継続する」という前提が変わらない以上、米国の強気材料に対して「市場が素直にドル買いで反応するようになった」と解釈することには相当に無理があろう。
思えば、7月分の米雇用統計発表時(8月7日)にも同じようなことがあった。そして、そのときに付けた高値=97.79円は、いまだ一度も攻略されていない...。あのときは、翌週にFOMCの開催を控えていて、「FRBによる米国債の買い入れが延長あるいは増額されるか否か」が焦点となっていた。今回は、12月8日にオバマ米大統領が追加の雇用対策を打ち出す予定となっている(もちろん、対策規模は極力抑えたい)。よって、それを意識して多分に「てごころ」が加えられた雇用統計&失業率の数値になったのではないか...というのが筆者の私見だ。

とまれ、先週4日の急伸でドル/円は一時90円台後半の水準へ...。ここは一目均衡表(日足)の雲の下限にかかる水準であり、同時に遅行スパンが日々線にかかる水準である。また、21日移動平均線かい離率も+2%台に達しており、目先は戻り一服となりやすい状況だ。振り返ると、10月27日にもまったく同じ条件下でドル/円は天井をつけ、その後、11月27日に85円割れを見るまで基本低的に下げトレンドが続いた。
仮に、11月27日の安値がドル/円の過去の推移に認められる「8-9か月サイクル」の終点であり、同時に05年1月を起点とする「5年サイクル」の終点でもあるとすれば、今後、ドル/円は意外なほどの戻りを見ることとなる。08年3月安値-09年1月安値が「45週」で、09年1月安値-09年11月安値も「45週」という見事な対等数値になっている点には要注目だ。
ただ、そうなるためには、まず目の前に控える一目均衡表の雲を上抜け、同時に遅行スパンが日々線を上抜けたうえで、さらに4月から形成されている下降チャネルの上限をブレイクすることが求められる。目先、スピード調整後に再度、上値を試す展開となるかどうか...。