●第251回 米国の金融規制案は徐々に消化される...
目下の話題は、何を置いてもオバマの金融規制案に尽きる。
いまだ病み上がりの状態にある米金融システムの担い手に、唐突かつ極めて重い規制を課すことはヘタをすると米景気の低迷を一段と長期化させるリスクを伴う。
確かに、リスクの高い金融取引に一定の制限を設けることやファンドへの投資に一定の規制を課すことは、過去のレバレッジバブルの教訓を踏まえれば、いすれは必要となるものと言えよう。しかし、それは米景気が自律的な回復軌道に乗ったことが確認されてから実施されるべきで、このタイミングというのは、いかにも「拙速」との感が否めない。
規制案を持ち出した最大の理由は、オバマ大統領の「人気取り」との評が大方。「ボルカー・ルール」と言われるように、このところオバマ氏はポール・ボルカー経済回復諮問委員会委員長との距離を縮めており、これはすなわちラリー・サマーズ国家経済会議委員長との距離を置くという姿勢の表れでもある(サマーズの辞書に「規制」という文字はないはずだ)。このことは、ここにきてバーナンキFRB議長の再任裁決に一部から反対意見が挙がっていることとも無縁ではなかろう。言うなれば、いましばらくバーナンキ&ガイトナー体制を継続するために、あえてサマーズを政権の中核から外す姿勢を示すことで、強まる「金融危機を防げなかった責任」の追求をかわそうということではないのか。ちなみに、ボルカーは若きガイトナーの「後見役」とされる。
つまり、実際に規制措置を直ちに講じることは「二の次」。その実、いまだ規制案の詳細は不明であるし、議会との調整にも数多の困難が待ち受ける。そもそも、与党民主党は上院での安定多数を失っており、法案作成から審議、成立までには相当の時間を要することとなろう。
その意味で、今回のことは「あまりにセンセーショナルなことであった」という点において、一時的にも市場心理を急激に冷え込ませたわけだが、今後、時の経過の中で徐々に消化されてゆくこととなるのではないか...。
先週の本欄でも述べたとおり、グローバル・マーケット全体において徐々にリスク回避ムードが高まっていることは事実であろう。先週、何かと取り沙汰された中国の金融引き締め観測もその一因であるし、いまだに世界景気の「2番底」に対する警戒も解けていない。よって、本流はドル・キャリーの巻き戻しにあり、ドルストレートでのドル買いが今後もジワリと進むものと見ていいのではないか。
結果、先週ついに200日移動平均線を下抜けたユーロ/ドルは、今後も下値余地を拡大させるものと見られる。21日には1.4028ドルの安値をつけたが、さすがに1.40ドルという重要な心理的節目では一定の反発があろう。一方で、すでに89日線は下向きになってきており、基本的に弱含みの展開は継続しそうである。場合によっては、意外なほどすんなりと1.40ドルを下抜ける可能性もあり、そうなると昨年6月安値、昨年3月高値が位置する一つの節目=1.37ドル台前半が次の下値メドとして視野に入ってくることとなろう。
ドル/円は、前述したセンセーショナルな材料によって先週末、89日線を割り込んで引けることとなったが、目先の材料を消化する過程の中で徐々に底堅さを取り戻してくるように思われる。仮に、一段の下値を試すとしても、昨年11月安値から今年1月8日高値までの上げの50%押し=89.30円あたりまでがいいところではないか。本日(25日)のNY引け時点で89日線を上回れば、あらためて93.00円処まで低下してきた200日線をメドとした戻りを試す展開となるものと見られる。
