●第252回 ジワリとリスク回避のドル買いが進む...
ユーロ安が止まらない。やはり、主因はギリシャに代表されるソブリン問題。公的資金を投入すれば一定の安心感が得られる金融システム問題とは異なり、ソブリン問題はその解決に一定の時間を要する。足下ではギリシャ国債のCDSプレミアムが過去最高水準を更新しているうえ、ポルトガルの財政赤字問題も浮上するなどユーロ圏への不安が大きくなっている。1月28日、ドイツのブリューデレ経済技術相は「ユーロ圏の一部の国は危険なほど弱さを示している。それはすべてのユーロ圏諸国に致命的な影響を及ぼす可能性がある」と述べた。
さすがに、これではユーロを積極的に買い進むムードは広がってこない...。まして、今週は4日にECB理事会が開催されることとなており、その後の総裁会見が大いに注目される。これまでのところ、ドイツやフランスはギリシャ支援の計画はないとしており、その点が改めて確認されるような発言があると、ユーロの下げは一段ときつくなる可能性がある。
1月20日に200日線を一気に下抜けたユーロドルは、先週28日、ついに重要な心理的節目と見られていた1.40ドルをもあっさりと下抜けた。足下では、1.38ドル台半ばまで値を沈めており、昨年6月安値であり同時に昨年3月高値でもある1.37ドル台前半を意識するようになるのも時間の問題か...。
いまだ200日線は上向きであることから、多少の戻りを試す可能性はありそうだが、一方で89日線は下向きに転じてきており、そう遠くない将来においてデッド・クロスが示現する可能性に対しても警戒を要するものと言えよう。ちなみに、09年11月高値=1.5144ドルと同年12月安値=1.4218ドル、そして10年1月の高値=1.4579ドルを元にした「N計算値」は1.3653ドルとなることも念頭に置いておきたい。
ここもと、市場のリスク回避ムードが徐々に広がりを見せている背景には、いまひとつに中国の問題もある。先週も、たびたび中国政府・当局による預金準備率の追加引き上げなどが話題になっていたが、当面はそうした「窓口指導」の効果を見極める必要があり、そう矢継ぎ早に次なる策がどんどんと繰りだされるわけでもなかろう。その意味で、あまりに過剰な反応は慎みたいところでもある。ただ、年前半の中で金利引き上げが実施される可能性はなおも否定できず、なかなか積極的にリスクを取りに行くムードが広がらないなかにあって、今後もドルストレートでのドル買いはジワリと進むこととなろう。
先週29日に発表された1月のロイター/ミシガン大消費者指数やシカゴPMIなど、米経済指標が総じて強い内容であったことも、基本的にドルの堅調地合いにつながっている。ことに09年10―12月の実質GDP(速報値)が前期比年率5.7%増と、事前の市場予想を大きく上回ったことはちょっとしたサプライズであった。
もちろん、27日の一般教書演説では「雇用創出」が重要施策の一つとしてあらためて取り上げられており、その意味で今週末に控える(米)1月の雇用統計の結果を見るまでは、ドルの上値もある程度は限られるといったところか。
先週27日、ドル/円は一時89.14円まで下落する場面があったが、この水準は先週の本欄でも指摘した通り、昨年11月安値から今年1月(8日)高値までの上げ幅に対する50%押しに近く、同時に一目均衡表の「雲」上限にも近い。これが当面の下値限度と強く意識されるようであれば、今後は再び200日線、ならびに昨年4月高値以降に形成されている下降チャネルの上限を試す展開になるものと見られる。なお、目先はやはり92.00円という一つの節目が意識されやすいものと思われる。
