●第255回 ドル/円は「重要な節目」を上抜けるか
前回の本欄で、ドル/円について「89日線を明確に上抜けて来た場合には、目先的にも『雲』上限付近までの戻りはあっていい」と記したが、結果的には、その「雲」上限をも上抜けて、その後は同水準が下値サポートとして機能している模様だ。
テクニカル的には、ここで「三役好転」の強気シグナルが灯ったことにより、ドル/円の上値余地は拡大しつつあるものと見られるが、92円台前半には200日移動平均線ならびに昨年4月に高値を付けて以来続いている下降チャネルの上限といった「重要な節目」が控えており、同水準に押し戻されるか否かが目下最大の焦点ということになろう。
19日の米公定歩合引き上げは、そのタイミングに意外感があったことから、少々大きなドル買いでの反応となったが、これは「あくまで金融市場の状況が改善してきていることをアピールするもの」であって、「金融引き締め=政策金利引き上げとは切り離して考えるべきもの」とする当局のメッセージを軽視することもできない。今週24日、25日にはバーナンキFRB議長の議会証言が予定されており、その場においても市場の行き過ぎた利上げ観測に対して、より冷静・慎重であられたいとする旨のコメントが発せられることとなろう。
しかし、今週は2月の消費者信頼感指数(23日)や1月の新築住宅販売件数(24日)、10-12月期実質GDP・2次速報、1月の中古住宅販売件数など、重要な米経済指標の発表が数多く控えており、これらが比較的良好な内容を示した場合には、素直にドル買いで反応する可能性が高いものと見られる。
何より、今後ドル/円が前述した「重要な節目」をテクニカルに上抜けると、これは昨年4月以来のトレンド転換を示唆することとなり、相当に大きなインパクトを持つものとなるはずだ。ちなみに、07年6月高値(=124.12円)と08年8月高値(=110.67円)を結ぶレジスタンスラインは執筆時、93.00円程度まで下降してきており、同水準をブレイクできるかどうかが次のポイント。仮に、ここをブレイクしてくると、まずは今年1月高値の93.77円、そして昨年4月高値から11月安値までの下げ幅に対する61.8%戻し=95.10円が次なる上値メドということになってくる。
もっとも、対円でのドル買いが一段と強まるかどうかは、対ユーロでのドル買いが一段と強まるかどうかにもよる。先週19日、ユーロ/ドルは一時1.34ドル台半ばまで押し下げる場面が見られたが、同水準は08年10月安値から09年11月高値までの上げ幅に対する61.8%押しの水準(=1.340ドル)に近く、このあたりで一旦は下げ止まる可能性もある。
件のギリシャ問題についても、先週の週初にEUがギリシャの再建計画を条件付きで承認したことによって、とりあえずは一段落といった印象。何より、市場ではそろそろ同問題を材料として取り沙汰することに少々飽き飽きしてきたような雰囲気が感じられる。
もちろん、ギリシャ問題は今後も中期的にユーロの下押し圧力となり続け、ユーロ/ドルは中期的に1.30ドル割れを意識した展開になるものと思われる。ただ、今週に関しては目先の戻りを試す動きが見られる可能性もあり、結果、ドル/円の上値もある程度は限られるということになる。
よって、ドル/円が「重要な節目」を上抜けるには、いましばしの日柄が必要ということになるだろうか。
