HOME > FXコラム > 外貨投資 転ばぬ先の智慧 広告記載事項
外貨投資 転ばぬ先の智慧
外貨投資 転ばぬ先の智慧

2010年1月25日

●第251回 米国の金融規制案は徐々に消化される...

目下の話題は、何を置いてもオバマの金融規制案に尽きる。
いまだ病み上がりの状態にある米金融システムの担い手に、唐突かつ極めて重い規制を課すことはヘタをすると米景気の低迷を一段と長期化させるリスクを伴う。
確かに、リスクの高い金融取引に一定の制限を設けることやファンドへの投資に一定の規制を課すことは、過去のレバレッジバブルの教訓を踏まえれば、いすれは必要となるものと言えよう。しかし、それは米景気が自律的な回復軌道に乗ったことが確認されてから実施されるべきで、このタイミングというのは、いかにも「拙速」との感が否めない。

規制案を持ち出した最大の理由は、オバマ大統領の「人気取り」との評が大方。「ボルカー・ルール」と言われるように、このところオバマ氏はポール・ボルカー経済回復諮問委員会委員長との距離を縮めており、これはすなわちラリー・サマーズ国家経済会議委員長との距離を置くという姿勢の表れでもある(サマーズの辞書に「規制」という文字はないはずだ)。このことは、ここにきてバーナンキFRB議長の再任裁決に一部から反対意見が挙がっていることとも無縁ではなかろう。言うなれば、いましばらくバーナンキ&ガイトナー体制を継続するために、あえてサマーズを政権の中核から外す姿勢を示すことで、強まる「金融危機を防げなかった責任」の追求をかわそうということではないのか。ちなみに、ボルカーは若きガイトナーの「後見役」とされる。

つまり、実際に規制措置を直ちに講じることは「二の次」。その実、いまだ規制案の詳細は不明であるし、議会との調整にも数多の困難が待ち受ける。そもそも、与党民主党は上院での安定多数を失っており、法案作成から審議、成立までには相当の時間を要することとなろう。
その意味で、今回のことは「あまりにセンセーショナルなことであった」という点において、一時的にも市場心理を急激に冷え込ませたわけだが、今後、時の経過の中で徐々に消化されてゆくこととなるのではないか...。

先週の本欄でも述べたとおり、グローバル・マーケット全体において徐々にリスク回避ムードが高まっていることは事実であろう。先週、何かと取り沙汰された中国の金融引き締め観測もその一因であるし、いまだに世界景気の「2番底」に対する警戒も解けていない。よって、本流はドル・キャリーの巻き戻しにあり、ドルストレートでのドル買いが今後もジワリと進むものと見ていいのではないか。
結果、先週ついに200日移動平均線を下抜けたユーロ/ドルは、今後も下値余地を拡大させるものと見られる。21日には1.4028ドルの安値をつけたが、さすがに1.40ドルという重要な心理的節目では一定の反発があろう。一方で、すでに89日線は下向きになってきており、基本的に弱含みの展開は継続しそうである。場合によっては、意外なほどすんなりと1.40ドルを下抜ける可能性もあり、そうなると昨年6月安値、昨年3月高値が位置する一つの節目=1.37ドル台前半が次の下値メドとして視野に入ってくることとなろう。

ドル/円は、前述したセンセーショナルな材料によって先週末、89日線を割り込んで引けることとなったが、目先の材料を消化する過程の中で徐々に底堅さを取り戻してくるように思われる。仮に、一段の下値を試すとしても、昨年11月安値から今年1月8日高値までの上げの50%押し=89.30円あたりまでがいいところではないか。本日(25日)のNY引け時点で89日線を上回れば、あらためて93.00円処まで低下してきた200日線をメドとした戻りを試す展開となるものと見られる。

2010年1月18日

●第250回 今週は様子見気運の強い状態が続く...

先週から米主要企業および米主要金融機関の決算発表がスタート。おおむね好調な内容が期待されているぶん、引き揚げられた高いハードルをすんなりと越せなかったときに広がる失望感、あるいは出尽くし感がもたらす市場への影響に警戒しておく必要もあろう。

15日に発表されたJPモルガンの決算は、投資銀行部門が期待通り好調であったものの、住宅ローンやクレジットカードなど個人部門の不振が目立ち、それが3連休を控えた同日の米株式相場に暗い影を投げかけた。JPモルガンのダイモンCEOは「ウォール街で最も有能」との呼び声が高いだけに、今週発表されるシティグループ(19日)やバンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、モルガンスタンレー(20日)、ゴールドマン・サックス(21日)などの決算内容についても「さほど期待できるものではなさそう」との連想が働いているようだ。

もちろん、実際には蓋を開けてみないことには何とも言えず、今週は個別の決算内容に一喜一憂しながらも、全体としては株式相場も外国為替相場もともに方向感を見出しにくいもみあいの展開となりそうである。よって、今週は様子見気運の強い状態が続くこととなろうか...。

日本では本日から通常国会が召集されるが、件の政治資金問題が肝心の予算審議に影響するとの懸念は拭えず、想定以上に堅調な推移を続けてきた日本株の動向にも暗雲が垂れこめる。政権基盤が揺らぐことで、財政再建の行方が一段と不透明になってくれば、長期金利が強含みとなることも想定され、円買い材料と円売り材料も交錯しそうだ。

ファンダメンタルズ面からすれば、当面はドルを積極意的に買うわけにもゆかず、ユーロもギリシャの財政再建計画を吟味しないことには買いづらい...。かといって、円を強気で買い進むムードでもなく、結局は株式相場や商品相場を横にらみしながらの判断ということになろう。
先週15日のNY原油先物は期近で一時、1バレル=77ドルまで下押ししており、今後76ドルを明確に下抜けるようだと、グローバル・マーケット全体にリスク回避姿勢が強まってきたことを告げるシグナルの一つとなろう。これは、すなわちドル・キャリーの巻き戻しがしばらく進む可能性を意識させる。

一方、テクニカル面では、まずユーロ/ドルが今後も200日移動平均線(200日線)のサポートを有効とするか否かに注目。加えて、これまで上向きだった89日移動平均線(89日線)が下向きに転じてきたことも見逃せない。
仮に200日線を下抜け、さらに昨年12月22日安値=1.4218ドルをも下回るようなことがあれば、昨年8月安値=1.4045ドルを意識せざるを得ない展開となろう。

ドル/円は、下向きから横向きに転じてきた89日線が当面のサポートとして意識されやすい。目下、89日線は90.20円前後の水準にあり、昨年11月安値から直近高値(1月8日)までの上げの38.2%押しは90.35円の水準にある。よって、当座の下値余地は限られると見ていいのではないか。
逆に、切り返しても当面は上値の重い展開となりそう。米株価に調整が入ると、同時にNY原油やユーロ/ドルが弱含み、ユーロ/円にも下値余地が出てくることから、連れてドル/円にも下押し圧力がかかり、対円でのドル買いムードも相殺されてしまう可能性があろう。

2010年1月 4日

●第249回 ユーロ/ドルとドル/円は200日線を意識

新年 明けましておめでとうございます。
2010年も本欄をご愛読賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

振り返れば、09年の外国為替相場は基本的にドル安基調が続いたが、年末近くなって従前の流れに変化の兆しが垣間見られることとなった。
依然として、米FRBは将来の政策金利について「長期間、異例の低水準とすることが正当化される可能性が高い」としており、多くの市場関係者は「長期間」をして「少なくとも半年程度」と見ている模様。FRBが最重要視しているのは他でもなく雇用情勢であり、失業率の低下ペースが相当に緩やかなものになると見られていることからも、利上げ観測が本格的に浮上するのは年後半以降との見方が支配的だ。
その一方で、FRBは金融危機対応のための緊急措置として設けられた諸々の流動性供給策については段階的に「出口」を探ることとしており、その点において追加緩和の可能性を否定できない日本の状況とは明らかにムードが異なる。昨年末の本欄でも指摘した通り、やはり日銀総裁によるテレビ出演でのコメントと政府&日銀による「政策連携のかたち」がおぼろげながらも見てとれるようになったことは大きい。また、南欧を中心としたユーロ参加国の一部で俄かに経済の先行きに対する警戒感が強まっていることも見逃せない。

もちろん、米景気の回復期待でドル買い優勢などという単純な図式ではなかろう。むしろ、いまだにくすぶる「世界経済の2番底を警戒する」リスク回避的なムードと「それは杞憂に終わり、他に先んじて米国が立ち直ることを期待する」利上げ警戒ムードとが相俟って、いずれにしてもドルが買い直されやすいという流れがしばらくは見てとれるようになるのではないか...。
結果、ユーロ/ドルは下げ基調、ドル/円は戻り基調が続くものと個人的には考えている。

まずユーロ/ドルだが、昨年11月下旬から続いた急激な下げは一服し、目下のところ200日移動平均線(200日線)に下支えされる格好でのスピード調整が図られている模様だ。当然、今後の最大の焦点は「200日線が下向きに転じる可能性」と「日々線が200日線を下抜ける可能性」であり、その双方を十分注視しておくことが必要だ。仮に200日線を下抜けた場合には、1.4ドル~1.38ドルのレベル(昨年9月安値は1.4045ドル、同6月安値は1.3747ドル)を試す可能性があるものと考える。

一方のドル/円は、昨年10月27日高値=92.33円を上抜け、年末(31日)には93.15円の高値をつけるに至っている。200日線ならびに昨年4月からの下降チャネル上限に迫っていることや21日移動平均線かい離率が+2.5%近辺にあること、そして国内輸出勢の売りが出やすいことなどを考えると、ここは自ずと上値が重くなりやすいところ。目先は、昨年10月27日安値からの下値サポートを試すなかで一時的に92円割れとなる可能性も否定できないところだが、基本的に下値は堅いものと思われる。
仮に、200日線ならびにチャネル上限をブレイクすれば、昨年4月高値から同11月安値までの下げの61.8%戻し=95.10円が当面の上値メドとなろう。

大発会の日経平均株価は目下、100円超の上げとなっており、これは「ニワトリとタマゴ」なのだが日経平均の上げにドル/円が連れて上げる可能性もないではない。ただ、今週は米国を中心に重要な経済指標の発表が相次ぐため、どうしても様子見気運が強まりやすい。