●第223回 米雇用統計のほかに、もう一つ注目したいイベント
先月30日の日銀による臨時金融政策決定会合を前に期待感から86円ラインに迫ったドル円でしたが、追加緩和策が、期間を3ヶ月から半年に延長した10兆円規模の新型オペ上積みという予想通りの結果に落ち着いたため「噂で売って事実で買い戻す」を地で行く動きとなりました。31日に公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録(8月10日開催分)では米追加措置策の必要性が議論されたことが明らかにされており、また相次ぐ米経済指標の悪化も手伝って米景気への不透明感はなかなか払拭されない状況が続いています。このため月が明けた9月1日には、ドル円が再度83円半ばまで下押しする動きとなっています。
一方で、米景気回復の兆しがまったくない訳ではありません。1日に発表されたISM製造業景況指数は56.3と予想を大きく上回り、良化・悪化の分かれ目とされる50を13ヶ月連続で上回る結果となっています。そして構成項目である雇用指数は、1973年11月以来の高水準となる60.4への改善が見られます。このため同日に発表されたADP雇用統計(民間)が大きく悪化したにもかかわらず、比較的下値がしっかりとした揉み合いの中でドル円は本日の米雇用統計を迎えています。
事前予想は非農業部門雇用者数が-10.0万人と、依然としてあまり宜しくない予想が続いています。しかし前記したISM製造業景況指数内・雇用指数が大幅改善したことを背景に、ポジティブサプライズを期待する声も一部から聞こえて来ています。悲観的な見方がすでに織り込まれている感があることから考えると、本日の米雇用統計に関するリスクは、実は上方向といえなくもありません。
・・・ところで話は変わりますが、本日は米雇用統計のほかにもう一つ注目したいイベントがあります。ISM非製造業景況指数です。
ISMは原則として毎月1日に発表されるISM製造業景況指数ばかりが注目される傾向にあり、それに比べるとISM非製造業景況指数は少し地味な印象があります。しかし米GDPに占める製造業の割合がおよそ10%強であるのに対して、非製造業の割合はおよそ80%を占めています。そしてISM製造業景況指数内の雇用指数が改善したことを一因にポジティブサプライズを期待する声がある反面、フィラデルフィア連銀製造業景気指数やシカゴ購買部協会製造業景気指数といったその他の景気指数の構成項目である雇用指数は、依然として低下傾向を見せています。このためISM製造業景況指数のみが突飛な結果という見方もあるだけに、過度の期待感は禁物です。
やはり「米雇用統計は水物、結果は蓋を開けるまでわからない」といういつものスタンスは、最後まで貫きたいところです。ただしその後に発表されるISM非製造業景況指数の結果によっては、大どんでん返しとなることへの期待感を、ちょっとだけ持って臨みたい?・・・ところです。
