●第195回 今夜は米雇用統計。注目は...。
※今週(12月11日)の『武市のなぜなにFX』は、筆者都合により休載いたします。
米感謝祭(サンクスギビングデー)に伴う薄商いを衝いた円の仕掛け的な買いが加速したことで、先月27日には95年7月以来となる85円割れを示現したドル円ですが、その後は急速に切り返す動きを見せています。今月3日には一時88円半ばまで上値を拡大するなど、先月25日以降の下落分を完全に取り戻した格好となっています。ドバイの債務不履行懸念──いわゆるドバイショックは想定したほど世界経済に波及しないとの思惑が台頭したことに加えて、日銀が新たな金融緩和策を行い、円高およびデフレ阻止に向けたスタンスを示したことがドルの買い戻しを誘った感があります。
しかし今回の日銀の新たな金融緩和策にはその効果を疑問視する声も付いて回っており、また「米金融当局の本音はドル下落容認」との見方が強まっているドルのセンチメントが回復した訳でもありません。このため87円半ば上方向に断続的に国内輸出筋を中心としたドル売りオーダーが控えています。上値が重いのは、このためです。
しかしいくら効果が疑問視されるとはいえ、今回の日銀の金融緩和策はデフレと円高阻止に向けた対策であることには変わりがありません。このためファンド勢などは円売りオーダーに厚みを増しており、これが現在のドル円の下値を支えています。何より今月は米企業にとっては今年一年の収穫時期である年度末となっています。そして今年のトレンドはドル売りであっただけに、収穫となるとドル買い戻しとなるとは必然ともいえます。
こうした状況下で行われるのが、本日発表が予定される米雇用統計です。現在の米国は雇用なき景気回復(ジョブレス・リカバリー)が続いているといわれており、なかなか大きな改善は見込みづらいところではあります。事実、1日のISM製造業景況指数を構成する雇用指数では悪化傾向が見られ、2日のADP雇用統計(民間)も予想を下回る結果に終わっています。米地区連銀経済報告(ベージュブック)では「労働環境は引き続き弱い」とも指摘されるなど、まだまだ予断を許さない状況といえます。
ただし3日に発表されたISM非製造業景況指数は景気の分岐点とされる50を3ヶ月ぶりに割り込んだものの、構成項目である雇用指数は若干なりとも改善傾向を見せ、また同日に発表された新規失業保険申請件数はリーマンショック前の水準に戻しました。雇用統計直前の3日に幾分なりとも改善傾向が見られたことで、どちらかというとマーケットは悲観よりも楽観が上回りつつあります。そう考えると、目先の動きを左右するドル買い戻しの勢いが増す可能性は、否定出来ないところでもあります。
ドル売りという大きな流れに変化が生じている訳ではありません。またマーケットの流れを変えるほどのインパクトがある材料は、ドル円が値位置を戻す現在においても出てきていないのが実状です。発表次第で大きく乱高下する可能性は否定出来ず、また上値が重い状況も続きますが、それでも警戒すべきはドルの買い戻しと見ておきたいところです。もちろん雇用統計時のみのことをいっている訳ではありませんので、リスク管理はしっかりと・・・。
