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第143回 「文明の衝突」

2017年08月01日

株式会社マネーパートナーズ   ホームページ寄稿 2017年 8月

 5年に一度の共産党大会が数ヶ月後に迫って中国には次第にある種の緊張感が高まっている。新しい指導者が決まるのだから当然ではあるのだが、今回は明らかに今迄の交代時とは違った雰囲気があるようだ。その一つは習近平共産党総書記が今後自分の追及するであろう指導理念、換言すれば、中国がどういう統治体制の国になるかについて、非常に明確で強固な意志を明らかにしていることだ。習近平は「傑出した独裁者」による指導こそがもっとも優れた統治形態だと信じているのである。もう一つの今回の特徴は習近平が自らの目標を実現するために、汚職撲滅のスローガンの下で、今だかつてないような広域な規模と峻烈さをもって反対勢力を排除していることである

 鄧小平の開放改革政策以降、中国は韜光養晦という戦略もあり、欧米的な民主主義とか市場経済という制度に対して一応は宥和的だった。直接選挙制を拡大するということが云われたし、官から民へということが一つのスローガンにもなっていた。こういう中国側の姿勢は欧米側にも当然好意的に受け止められ、ベルリンの壁が崩れたように、中国も結局は欧米の制度に同化するのだという楽観論が生まれたのである。

 しかし、この東西宥和の幻想は20世紀末から急速に消滅した。理由の第一は中国の急速な拡大・強化であり、第二は欧米型制度の深刻な欠陥の露呈であった。

 鄧小平政策の下で中国の国力は、人類史上でも稀な、急成長を遂げた。今や中国は経済、軍事、技術、文化、外交の各面で紛れもない世界の大国になった。それに伴って国民一般の生活水準が向上し続けている限り、社会的政治的安定も維持されたのである。その結果生まれたのは国民の自国の現状と将来に対する自信だったのは当然だろう。

 他方、欧米諸国はトラブル続きだった。9・11テロ、ITバブルとその崩壊、リーマン・ショック、ユーロ危機、移民騒動、人種紛争、BREXIT、トランプ現象、等々である。そしてそのすべては、習近平の眼から見れば、行き過ぎた自由とポピュリズムによって機能不全に陥っている民主主義と貪欲に蝕まれた市場原理主義経済の醜状であったろう。

 中国の進むべき道は欧米諸国への追随ではない。伝説に讃えられた中国の古代王朝のように、上に徳と知を持って民と国を案ずる君主があり、下にそれを崇め信ずる民があれば、それはおそらく理想的な統治体制だろう。習近平は共産党と自分がそのような優れた指導者にならねばならぬし、またなれると信じているのだろう。

 習近平の理想と信念は21世紀に実現できるのだろうか。まだ判らないというのがおそらく正直で正確な答えだろう。中国経済は多くの問題を抱えているが、その最たるものは金融システムの強化と国有企業の改革である。そしてその完遂には既得権益(人事と資金)の徹底的排除が必要だが、国民が納得するような形で行えるだろうか?そして、市民社会が次第に成熟して行った時、人々は何処迄思想や表現の自由に対する公的制約を容認するだろうか?

 この疑問に対する答えは、ひょっとすると今我々が常識で考えるものだけではないのかも知れない。過去70年の中国の発展が常識では誰も予見できなかったのは確かなのだから。習近平は解決できると思っているのだろう。はっきりしていることは、第二次大戦後の欧米主導の秩序に対して中国が初めて明確な挑戦状を突き付けたということである。「文明の衝突」は始まったのだ。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。

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