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第151回 「いよいよ始まった米中の拮抗」

2018年04月02日

株式会社マネーパートナーズ   ホームページ寄稿 2018年 4月

 世界経済の覇権をめぐる米中の戦いがいよいよ真剣さを増して本格的なものになってきた。習近平は鄧小平時代のスローガンであった韜光養晦政策をかなぐり捨てて、21世紀半ばには中国が世界の覇者になるという目標を明確に打ち出した。一方トランプはこのような中国を今や紛れもない挑戦者として認識し、その野望を阻止するためにあらゆる交渉力を動員する決意を示した。

 双方共にお家の実情は中々複雑である。中国側の事情を見ると、当面経済は量的・質的にほぼ順調に発展しており、習独裁体制の確立によって政治的安定も確保されている。しかし、中長期的課題ということになると、地方政府や企業の過剰債務問題、国有企業の合理化、所得格差の縮小と生活水準の向上という難問が山積している。こういう課題を大きな混乱なく解消するためには、6~7%の高成長を長期に亘って安定的に維持することが必須である。しかし、現実問題として、7%成長を20年間続けて現在8000ドルの一人当たりGDPを3万ドル超にすることは殆ど至難の技であろう。仮に実現できたとしても、その時点で、現在6万ドルの米国の一人当たりGDPは10万ドルを超えているだろう。夢の実現は容易ではないのである。

 したがって、米国との経済摩擦への対応は慎重にならざるを得ない。トランプ関税に対する中国の反応が抑制的であるのは当然と云える。しかし、その一方で1980年代の日米経済摩擦時代の日本と比べて、現在の中国ははるかに優位にある。当時の日本は、安全保障で米国におんぶにだっこであったのは云うには及ばず、米国からの輸入については自動車や農産物を始めとして厳しく制限していたし、米国企業の対日進出についてもきわめて閉鎖的だった。その結果、日本は米国との交渉で人質として使えるカードを何も持っていなかったのである。それに反して中国は、鄧小平時代の開放改革政策の下で、米国企業の対中投資を奨励し、世界最大の消費市場として、米国企業に大きな輸出市場を提供した。中国は米国国債の最大の保有者でもある。つまり、中国は米国との駆け引きに使える人質を沢山持っている。今後の中国の対米交渉は、こういう強味と弱味を正しく理解した上で、米中関係が悪化し過ぎて中国の発展が阻害されることを避けつつ、中長期的に中国の優位が確保されるという戦略を維持するであろう。

 他方、トランプの戦略も急速にその実像を明らかにし始めた。トランプが無原則で予見不能だという批判は相変わらず喧しいが、実際に彼がやっていることは、見方によれば、きわめて明快で首尾一貫している。幹部スタッフの容赦ない更迭、多国間交渉から二国間交渉へのシフト、脅かして交渉に引き込み、駆け引きの末に手を打って実を取るという手法、個人的親愛関係と云うようなウェットで情緒的価値の軽視、一見した奔放さの裏にある冷徹な計算は相手が誰であろうと全くぶれていない。そして、すべての政策はアメリカを強く豊かにするアメリカ・ファーストの選挙公約の実現に向けられている。

 トランプの対中政策はこうした文脈の中で見る必要がある。トランプはアメリカの覇権に対する中国の脅威を真剣かつ正確に理解している初めての大統領であろう。彼の対中政策を見ると、一方では中国の過剰生産による過剰輸出とか知的財産の盗用とかいう当面の問題を材料にして短期的な成果を得ようという狙いと、中長期的には中国が戦略的産業で国際的支配力を持つことを阻止しようという目的を併せ持っていることが判る。中国側がトランプの戦略を中々に手強いものだと認識していることは、習政権第二期の対米交渉の布陣を見れば明らかである。

 中華人民共和国成立70年にして米中両国は自分の戦うべき相手が誰であるかを明白に自覚することになった。この戦いの帰趨は現状では未確定要素が多過ぎて誰にも判らない。ただ21世紀前半が世界の近代史における画期的なドラマになるだろうことは明らかである。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。

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