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第153回 「こちらの責任」

2018年06月01日

株式会社マネーパートナーズ   ホームページ寄稿 2018年 6月

 トランプ旋風が世界を翻弄している。北鮮問題、貿易戦争、イラン問題、イスラエルの首都移転、NAFTA改組、等々。意表を突き、大方の常識を逆撫でし、しかし無視できないと思わせる突きを次々と繰り出してくるパフォーマンスは他の指導者達がとても太刀打ちできない発信力を持っている。国際的メディアの多くはトランプに批判的で、彼のやっていることはいずれも古き良き国際秩序を破壊するものだから国際社会は一致して彼が正道に戻るよう説得すべきであるという論調だ。しかしトランプは一向に意に介さない。驚いたことに、米国内でのトランプの支持率は40%で底を打ち、上向きの兆しである。とくに金融市場の参加者の間では、2020年の大統領選はトランプ再選で決まり、という雰囲気になってきた。要するに、トランプに対してもう単なる異端者扱いは止めて、まともに対応しなくてはならないということだ。

 日本にとって当面最大の関心事は貿易だろう。3月に発表された鉄鋼・アルミへの25%の関税引上げの撤廃要求は同盟国中日本だけが無視され、次は日本にとって最重要輸出品目である自動車にも高関税を課そうという案が発表された。ゴルフをしたり、メシを食ったりのお友達外交はトランプ相手には全く意味がなかったということであろう。

 トランプの貿易交渉はきわめて単純である。「ある国との間で、ある特定の品目の貿易で、米国の輸入が大き過ぎるか、輸出が少な過ぎるために、米国が何百億ドルの赤字になっている。それを減らさねばならない。」ということだ。そこにある三つのキーワードは(一)二国間、(二)具体的な品目、(三)数字、である。このトランプの土俵に一度乗ってしまうと、話は簡単だが非常に生々しいことになってしまう。トランプを満足させるためには、人為的な輸出規制か、人為的な輸入の上積みしかないだろう。

 こういう正常な貿易を歪曲する措置が両国の産業構造や市場構造にどういう長期的な変化を齎すかは簡単には判らない。1980年代の同じような日米貿易摩擦の結果行なわれた各種の輸出自主規制のその後を見ると、あまり長期的影響があったとも思えない。トランプの粗野な要求に対して日本が抵抗して切れるカードがあるなら、大いにそれを活用すべきだが、正直に云って日本にはカードがない。したがって短期的問題はそれなりにけりをつけねばならないだろう。

 しかし同時に、トランプに対しては、貿易問題とはすぐれて当事国の産業構造やマクロ政策の反映であり、その解決には両国が協調して対応しなければならないことを説くべきだろう。米国がなさねばならぬのは、第一に消費財産業の競争力の強化であり、第二に家計貯蓄率の向上である。日本がなさねばならぬのは、第一に輸出依存の成長を内需主導に切り換えることであり、第二に自動車と電機に偏り過ぎた輸出の構造を変えることである。

 第一期半ばのトランプ政権は国際的国内的アイデンティティーを作り上げるのに悪戦苦闘している。世界と米国の将来を考えてこの政権とどう付き合うのかを決めるのはこちらの責任ということだろう。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。

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