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第238回 ~いばらの道が続くドル~

2017年03月29日

 110円割れを目の前にしてドルは息を吹き返した。今後の利上げについて肯定的な発言をしたフィッシャーFRB副議長講演とコンフェランス・ボード(CB)の3月消費者信頼感指数がその大きな助けになった形だ。

 特にCB指数が、先月の116.1(改訂後)から、予想(114.1)を大きく上回る125.6へと急上昇、2000年12月(128.6)以来という17年3か月ぶりの高水準を記録したことが大きい。「消費者が現在の経済と雇用状態の著しい改善を評価していることが背景。今後の景況感や家計収入に楽観的な見通しを示している(CB)」との見方だ。

 ではこのままドルは反転するのか、一時的な調整なのか。筆者は、トランプ大統領の政権運営の危うさは消えず、4月には為替市場に影響のあるイベントが続くことから、2~3ヵ月はドル軟調気味に推移し、105円程度までの円高局面が到来すると予想している。

 まずは現状分析であるが、2週間前の世界的なイベントを大きな波乱なく乗り越えたことで、焦点はトランプ大統領の政権運営に移っている。しかしオバマケアの代替法案の撤回以来、議会・共和党との協調が一枚岩でないことが浮き彫りされてきたことで、トランプリスクが急激に高まりドル売りが加速している。

 また金利面でも、4回もありうると期待されていた利上げ回数がFOMCでは3回が維持されていたと期待外れだったこともドル売りの要因の一つだ。FOMCで今年度の投票権のあるメンバーは昨年に比べハト派が多いことを織り込めば想定できる結果であったが、イエレン議長はじめ当局者の事前の地ならしが強力だったことを考えれば、その落差の大きさがドルの重荷になった。

 一方チャート的には、ドル円がトランプラリーの調整をまだ終えていないと読める。トランプラリーが始まった11月9日以降の相場の幅を見ると、月曜日(3/27)に付けた110.10円はほぼ4か月半の安値であるが、まだ半値(109.96円)に届いていない。しかし、ドルインデックス、ユーロドルは、11月のトランプ勝利が確定した直後の水準に戻り、トランプラリー分を吐き出している。ドル円が110円割れの可能性があると考える理由の一つである。

 4月に入れば、PMIなど米国経済の好調さを示す新たな経済指標が出てくるので、一時的にドルは持ち直すことも考えられるが、トランプ政権の安定性が確認されるまで、ドルのいばらの道はしばらく続くと考えている。今日は英国のEU離脱通告が行われる予定だが、すぐにドル円相場に大きな影響は出ないだろう。

 今後一週間の相場レンジは、ドル円は110.00-112.00円、ユーロは、対ドルでは1.0650-1.0850、ユーロ円は119.00-121.00と予想している。
(2017/3/29、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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