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第264回 ~地政学的リスクの見方に変化~

2017年10月18日

 「ドル円の動きが不安定だが・・・」との声がある。先週は、1時間ごとに上下動を繰り返すときが続いた。13日には、先週の予想通り、日々線が21日線を割り込み、ほぼ2週間ぶりに111円50銭台まで売られた。しかし今週に入ってはドルは強含み推移である。113円台となれば10日ぶりである。まさに方向性がつかみにくい展開だ。これに対する筆者の答えは、「不安定のなかに安定があるので、心配していない」だ。

 さらに、 最近は「日本のすぐそばの北朝鮮の問題なのに、なぜ円は売られないのか」、「地政学的リスクを考えれば、日本円から離れる、つまり円は売られるはずなのに、なぜ円高になるのか」という質問を受けることが多い。確かに、「有事の際はリスクオフ」の名のもとに安全通貨と言われる円が買われる。アルゴリズムトレードには、「有事のドル売り、円買い」が組み込まれているとも言われる。

 この問いに対する解説はある程度一般的になっている。日本投資家の日本への回帰、すなわち外貨売り円買いがその理由だ。特に保険会社を中心に過去にも同様なケースがみられたし、筆者の経験から、これまではそう答えていた。しかし、この段階からは変わってきたのではないかと考えている。

 その背景には、情報の水平化である。すなわち情報格差がなくなり、相場変動要因や取引内容の情報を、参加者が共有できるようになり、もはや市場情報が専門家や大手金融機関や投資家の専売特許でなくなったことによる。その分だけ、一般の投資家でも、情報の先取り、先の先(あるいは裏の裏)を読むようになってきたことである。

 もう一点は、市場参加者の水平化である。実は海外の友人(投資家)と話していて、同意したことであるが、一つの答えは「短期トレーダーか長期投資家か」の立場の差である。自分がどの立場をとるかによって、すなわち自分の投資スタンスが短期の売買を中心としているか、長期的な財産形成を目指すのかによって答えは違ってくる。この両者が市場に大きく混在してきたのが今の状態である。別な言い方をすれば、相場の根底をしっかりつかんでいれば、日々の相場の乱高下にとらわれる必要はないということになる。

 そこで筆者の見方は、基本はドル高、今はこれを確認する時期だ、である。それは、トランプ大統領に対する評価の確認である。ディールメーカーとして、まさにワシントンの常識への挑戦が評価されてきたとの見方である。とすれば筆者は、米国の強さの再認識、すなわち米ドルの強さの表れが出てくるのは近い、との考えだ。

 そこで今後1週間の相場レンジは、ドル円は112.00-114.00円と予想。一方ユーロは、対ドルでは1.1680-1.1880、対円で131.50-133.50円と予想する。
(2017/10/18、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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