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第279回 ~ドルの底値は近いか・・・~

2018年02月14日

 正直言って106円台には驚いた。2017年の安値(107.29円、9/8)も下回ったことで、一気に107円も割れ、2016/11/14以来、1年3ヵ月ぶりの安値106.83円まで急落、昨年の安値を割れたため、一気にロスカットの売りが出た。これで100円までハードルが無くなったとの声も出てきたが、個人的には、売られすぎ! との思いである。

 今回の円高は、2月の米雇用統計の時間当たり賃金が、年率2.9%と約9年ぶりの上昇率になり株の暴落が起こったことで始まった。リスクオフの円買いである。途中黒田総裁の再任がほぼ確実になったことで一瞬円高が止まったが、焼け石に水のごとく、リスク回避の雪崩を止めることはできなかった。

 背景に、黒田総裁は自分が仕掛けた緩和を自分の手で決着をつけるに違いない、との思惑があるからだ。すなわち、次の政策は緩和の終了であり、国債などの債券購入の減額、誘導金利の引き上げが始まるとの読みである。そしてその時期は遠くないとの見方だ。

 この情報が、株下落と同様に、アルゴリズムのプログラムに組み込まれており、関連するニュースが出ると、即、自動的にドル売りが始まる。これがドル急落の背景だ。それは、リスク回避という資産を守る投資手法ともいえるが、一方で市場の流れを作る投機への引き金でもある。

 この市場操作は、106円台の滞空時間が昼の約45分間で、そのあとは107円台逆戻り、その後は、107円の半ばで推移していることでも想像がつく。投機の売買は、時間がたてばポジションのひっくり返しが起こる。筆者がドルの底値は近いと考える理由がここにある。

 この考えは、チャート面でも裏付けられる。このままいけば、長い下ひげ(当日の最安値から終わり値までの値幅)を付けて、相場の転換点になる可能性があるからだ。昨年、最安値から転換した時は、下ひげが約50銭、その前のドル高反転時(2016/6/14)はひげが約75銭だった。今回は、NY市場の終値次第であるが、少なくとも安値から50銭(107.35円)以上、ドル高水準で終われば、これまでの経験則と照らし合わせて、今回の円高局面は終わりと可能性が出てくる。その意味で長いひげが出れば、今日のドル売りは、ドル円のセリングクライマックスと言える。

 ドル安からの変転を示唆する他のテクニカル指標に、21日移動平均線(21MA)との乖離率がある。今日現在21MAは109.37円、安値との乖離率は2.32%で、昨年の最も大きかった乖離率(2.22%、5/9)をも上回る。またフィボナッチポイント(2016の高値と安値で計算)で見ても、61.8%の水準が106.48円で、今回の安値に近い。

 この考えは、今日の米国1月CPIで、底値になるか、まだ円高が進むかに、分かれる。過去の数字(前年同月比、%)は下記の通りだが、理想的な数字は、大きからず小さからず、まさに適温経済となることである。なお予想は、総合+1.9%、コア+1.7%である。


 今後1週間の相場レンジとして、ドル円は107.00円~109.50円、ユーロは、対ドルで1.2200~1.2450、対円では132.00~136.00円と予想、これまでより変動幅が大きいと判断している。
(2018/2/14、小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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