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第285回 ~円は安くなる前に高くなる~

2018年04月04日

 やはり、市場の不安定さに変わりはない。突然の105円割れに、これで円高が進むと考えたが、わずか3日で106円台まで回復、思いがけないドルの反発であった。期末でイースター休暇が重なり、年度末特有の季節要因にみられるポジション調整のドル買いが一気に起こった。予期せぬ中朝首脳会談が明らかになったことも、緊張緩和を印象づけ、リスクオフの解消に動いたこともある。

 その後、先週火曜3/27以来105円割れはない。4月以降の新規投資のドル買い期待も高い。これで方向性が定まったのか? このままドルは回復基調をたどるのか? 筆者は、これでドル安が終わりとは考えていない。円安前にもう一度の円高場面が起こると考えている。

 その理由は、政治的な不安定要因が全く解決されていないからである。その例が今日起こったことだ。アメリカの対中国追加関税賦課に対し、中国が報復関税の明細を発表したことで、106.60円台からドルが急落、106円割れもある勢いだ。 

 政治的には、北朝鮮をめぐる首脳会談シリーズは、まだ序盤戦。これからの駆け引きで何が出てくるかわからない。また株式市場も落ち着かない。米ダウ平均も下げ止まったとも言い難い。FANGと言われるIT企業株も軟調。トランプ大統領のアマゾン攻撃もゆるぎない。

 恐慌(VIX)指数も再び上昇している。先月末に19.92と低下したものの、4月に入ってはドル高にも関わらず上昇、4/3には24.97と続騰し、市場の空気は不安定だ。いわば「薄い氷に乗っているドル」といった感じだ。

 そんななかで、ドル高にサポート材料となる発表があった。NY連銀総裁にウィリアムス氏(Mr. John C. Williams)が、決定したことだ。現総裁のダドリー氏は昨年6月までの退任を発表、その後選考員会が後任探しを行っていたが、昨日NY連銀から正式に発表になった。ウイリアムス氏は、現在サンフランシスコ連銀の総裁で、2011年からイエレン前総裁(前・FRB議長)の後任として総裁の職にある。交代日は6月18日。6月のFOMC(6/12-13)後に就任する。FRB議長や理事が大統領の指名であるのに対し、地方連銀は、独自に決定できるので、これでタカ派のNY連銀総裁の誕生である。

 NY連銀は、特別重要な地位にある。全部で12ある地方連銀の筆頭格で、FOMCの副議長でもある。地方連銀総裁の投票権が約3年に1回の持ち回りにあるのに対し、NY連銀総裁は常に投票権を持っている。ウイリアムス氏は、今年投票権があるが、今後は常に投票できる立場になる。FRBの利上げ回数が3回から4回と不確定な状態だが、個人的には、これで4回利上げの方向性が高まったとみている。

 今後1週間の相場レンジとしては、ドル円は104.80円~106.80円、ユーロは、対ドルで1.2250~1.2450、対円では129.50~131.50円と予想している。
(2018/4/4、小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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