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第291回 ~トランプ氏は最も予測可能な大統領~

2018年05月23日

 強い米ドルが続いている。ドル指数は94を超え、2017年12月以来、約5か月ぶりの高値だ。ユーロは、イタリアの政局不安を背景に続落し、約6か月ぶりの1.17割れ目前まで売られている。反ユーロの連立政権が樹立する可能性があることや債務問題の再燃を嫌気した売りだ。それに比べれば、円は4か月ぶりの111.40円まで下落したが、ユーロほど売られていない。しかしこのドルの強さはどこから来たのだろうか。

 そのヒントになる記事を見つけた。それは、「トランプは歴代大統領の中で最も予測可能な大統領である」という米国ワシントンポスト紙の記事(5/20)であった。トランプ大統領に対する評価が変わってきたとの見方は、ワシントン在住の知り合いから伝わってきていたが、米国有力紙に、このような明確な評価を見たのは初めてだ。

 その一つの裏付けになるのが、トランプ氏の選挙公約、いわゆるマニュフェストの実行状況だろう。同じワシントンポスト紙は、定期的に選挙公約の実行状況をまとめているが、その実行過程を見ると、昨年までは公約の消化に全力を尽くしていたが、今年になって政策目標を方向転換したことが読み取れる。すなわち昨年のうちに公約すべてに対し何らかのアクションを起こし、今年からは重要な二つの経済目標に全力を尽くす方向にギアチェンジしたとの判断である(予測可能ポイント①)。

 ちなみに、60の主要項目の進捗状態を見ると、昨年12月26日には、未提案が21項目あったのに対し、今年1月にはゼロとなった。これに対し提案済みが12月の9から16に増えた。これが、4月30日現在では、未提案はゼロのままだが、約束実行14、約束破棄16、提案済み15、妥協7、検討停止8となった。現地ではこの意味が、手に取るようにわかり、トランプの政治手法の変更についての確証を得て、評価を変更したとみられる。

 では、二つの経済目標とは何か。一つ目は、10年間で、2,500万人の新規雇用創出であり、2つ目はGDP成長率を年3.5%(願わくば4%)への引き上げである。①については、目標達成には月平均20.8万人が必要だが、その実績は雇用統計のNFP(非農業部門新規雇用者数)で分かる。昨年2017年の月平均は18.2万人だが、2018年(4月まで)は20万人に増加してきた。

 一方で、GDP成長率は2017年は2.9%(第4四半期)で、今年の第1四半期は2.3%(速報値)であった。まだ足りない。そこで力を入れているのが、減税、規制緩和、インフラ整備の財政支出の3本柱である。大統領当選直後の声明で高らかに打ち上げ、いわゆるトランプラリーを作り出した政策だが、これが今まさに実行されてきたことで、トランプラリーその2がおこっている(予測可能ポイント②)。

 さて、6月12日の米朝会談を控え、当事国の米国、北朝鮮に加え、中国、韓国からも神経戦が交わされている。一説には、トランプ大統領は一気に非核化を要求し、かなわなければ交渉決裂、最悪の事態になるとの想定もある。しかし、そうならば、これほどまでにドルが続伸していくことはないだろう。会談は成功、というより失敗はない、との見方があるからこそ、ドルは強いと考えられる(予測可能ポイント③)。

 ところで、ドル円の5か月前は113円半ば、6か月までは112円後半、ユーロと足並みをそろえとすれば、円は、後1~2円は売られることになる。今後1週間の相場レンジとしては、ドル円は109.50円~111.50円、ユーロは、対ドルでは先週と同じく1.1650~1.1850、対円では129.50~131.50円と予想している。
(2018/5/23、小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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