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第367回 ~もう一つの米<中>摩擦~

2020年01月08日

新年早々、今年も米中で肝を冷やした。まさに「去年今年貫く棒の如きもの(高浜虚子)」の言葉を思い出す。だが同じ米中でも今年は<中>が違う。昨年が「中国」とすれば、今年は「中東」も加わる。地政学リスクの範囲が地球規模になると覚悟した。

昨年の正月に円が急騰したことを念頭に、今年も同じことが起こるのではないかと市場は身構えていた。原因は異なるが、やはり今年も同じような相場変動が起こった。アルゴも動いたに違いない。しかし今年の方が根が深い。昨年がアルゴリズム取引という、ある意味投機筋の一過性の仕掛けであったことに対し、今年は米国とイランという長年の怨恨の歴史の中で再燃した争いが元だ。相場変動の影響が長く引きずられると懸念する。

ドル円は、イランの報復攻撃が明らかになった今朝は107.65円と約3か月ぶりの安値となり、原油、金は急騰した。特に金相場(直物)は1,600ドル(1オンス)を突破、高い所で1,611ドルと2013年3月以来の高値となったことは驚きだ。原油相場(WTI先物)も、65.49ドル(1バレル)と8か月半ぶりと高値を付けた。

そしてVIX指数(恐慌指数)も上昇、投資家の不安心理の高まりも不気味だ。現在は、15前後(前日終値は13.79)と、通常時の10~20の範囲内ではあるが、20を超えるようになれば、リスクオフが拡大する可能性が出てくるので要注意である。ちなみに、2003年のアメリカのイラク侵攻時には、34.40まで上昇した。

そこで、この問題を解くキーワードは、アメリカ大統領選挙であり、「トランプ大統領の再選戦略」である。筆者は「再選にマイナスとなることは行わない」と超訳した。すなわち、この延長線上で「広範囲な無差別攻撃による戦争は仕掛けず、人的被害を出さないこと」が至上命題になると考えている。株価下落を引き起こすことは決して行わないとも言える。もちろん戦争となれば、人智を超える事態もあるので、予断を持たずに見守っていかなければならない。少しでも紛争が激化する兆しがでれば、ドル安円高が進むであろう。

しかし、一方で、ホルムズ海峡の封鎖となれば、日本の原油輸入に大きな影響が及ぶ。政府はじめ関係者は、日本には、原油備蓄は約200日あるので、何ら心配ないと言明しているが、市場の反応はそう簡単ではない。過去にも貿易赤字の増加が円安をもたらした歴史がある。この点では中東情勢の緊迫化が自動的に円高に結びつくと考えるのは短絡的と考える。しっかりとトランプの胸の内と世界情勢を見比べていく必要がある。

今後1週間は、トランプ大統領やイラン側の発言や行動に左右され、乱高下を繰り返す相場展開を予想する。ドル円は、107.00~109.00円、ユーロは、対ドルで1.1050~1.1250、対円では120.00~122.00円、また英ポンド/ドルは、引き続きEU離脱に関する混乱を嫌気して振れも大きなり、1.3000-1.3300と予想している。

(20/1/8, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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