FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

為替大観

最新の記事

第370回 ~低くないドルの価値~

2020年01月29日

新型ウイルスの拡散でリスクオフの流れが強まり、ドルの強さが目立っている。有事のドル買いの本領発揮である。これまで、リスク回避となれば、いの一番で円が買われてきたが、最近はその神通力に陰りが見える。その理由としては改めて米国の強さが認識されてきたからと考えられる。

ドルインデックスは98台に乗せ、12月3日以来の高値を付けている。一方で円は高くなっても1月8日以来であり、勢いがない。その点で、ドルの強さは目を見張る。対ユーロでは、11月29日以来のドル高であり、ユーロは節目の1.1000を割った。一方で、ユーロは対円でも、119.81円まで低下、11月25日以来の水準となっている。欧州景気の後退、マイナス金利の長期化などユーロ自体の下落要因があることも考慮しなければならないが、ドル対ユーロ対円の三通貨の関係でいえば、ドルに強さが戻っていることに注目しなければならない。

その大きな理由は、「高い所にお金は流れる」との資産運用の基礎となっている言葉で説明できる。信用(あるいは流動性)、成長、金利がその三本柱である。現在どれをとっても米国にかなうところはない。通貨の価値として評価の基準の一つである世界の外貨準備を見ると、減少しているとはいえ、シェアー・ナンバーワンは米国である(最新データでは、2019年9月末で61.6%、IMF調べ)。2位のユーロ(同、20.4%)とは大きな差である。ちなみに、円はわずか5.4%で、1998年(6.2%)に比べても減少している。やはり米ドルの価値は圧倒的に強いと言って過言ではないだろう。

次に成長である。先週IMFが発表した、GDP成長率見通しでも明らかになっているが、2020年で2%以上となっているのは米国だけである。中国(6.0%)、インド(5.8%)は大きい見通しが出ているが、資産運用市場として流動性や交換性は極端に劣る。主な運用先にはなりえない。一方個別企業への投資で見ても、米国は圧倒的である。株式相場の比較をすれば一目瞭然である。

少し長期だが、日本で38,915円という最高値を付けた時(1989年)から過去30年の比較で、日本株は40%のマイナスに対し、米国はなんと、10.5倍。リーマンショックなど何度も大きな下落を乗り越えながら、着実に増えている。やはりGDPの比率1位(24.2%、2018年IMF調べ)の米国への投資は、持たないリスクの回避に必要と判断されている結果であろう。

そして金利である。現在の政策金利では、米国(1.50-1.75%)がカナダ(1.75%)とともに一番高い。以前は金利の高い通貨の代表だった豪ドルは、今は0.75%である。金利面でもやはり米国である。厳密には、為替リスクもあり、表面金利から物価上昇率を引いた実質金利でみる必要があり、単純に預金(債券)金利が高いとの理由だけで運用先にすることには慎重に考えなければならない。しかし通貨資産規模や流動性を考えれば、ドルはほかの通貨に比べればやはり選択肢として優位にあると判断できる。

2017年の大統領として登場したトランプ氏が、「ワシントン政治をぶっ壊す。市民の手に政治を取り戻す」として、それまでの基準を否定し、言葉通りの行動に出たことで、市場は混乱し、市場は乱高下、安全資産への逃避と再開を繰り返している。会計上決算期のある投資家が、四半期ごと(3,6,9,12月末)に、利益を確定し、損失を防ぐポジション調整をしなければならないのもその理由の一つだ。この意味では、今後も短期的な相場変動は続くであろう。しかし長期で考えれば、ドルの価値を基本に考えて投資先を決める流れもあることも忘れてはならない。

今後1週間は、ドル円は、108.50~110.00円、ユーロは、対ドルで1.0900~1.1050、対円では119.50~121.00円、また英ポンド/ドルは、1.2900-1.3100と予想している。

(20/1/29, 小池正一郎)

このページの先頭へ

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引、証券取引、および暗号資産CFD取引(暗号資産関連店頭デリバティブ取引)に関するご注意


【パートナーズFXおよびパートナーズFXnano】
パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの建玉必要証拠金金額は原則、一般社団法人金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第31項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。但し、一般社団法人金融先物取引業協会が為替リスク想定比率を算出していない通貨ペアにつきましては、一般社団法人金融先物取引業協会と同様の算出方法にて当社が算出した為替リスク想定比率を使用しております。取引手数料は無料です。なお、外貨両替については1通貨あたり0.20円、受渡取引については1通貨あたり0.10円の手数料をいただきます。

【CFD-Metals】
CFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。

【証券】
国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.75%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,750円(消費税込み)をいただきます。有価証券のお預りが無く、一定期間証券口座のご利用が無い場合等は、別紙 ①「手数料等のご案内」に記載の 証券口座維持管理手数料1,100円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

【暗号資産CFD】
暗号資産は法定通貨(本邦通貨又は外国通貨)ではなく、特定の者によりその価値を保証されているものではありません。暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済に使用することができます。暗号資産CFDは、取引時の価格の変動により、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。暗号資産CFDの取引に必要な証拠金は、取引の額の50%以上の額で、証拠金の約2倍までの取引が可能です。取引にあたり、営業日をまたいで建玉を保有した場合にはレバレッジ手数料が発生します。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会 一般社団法人日本暗号資産取引業協会

このページの先頭へ

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 為替大観 > 第370回 ~低くないドルの価値~