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第387回 ~見え隠れするドルの潮目の変化~

2020年06月10日

ドルの動きが変だ! ドル指数が、今日で実質12日間下げ続けている。5月25日の99.773から今日(16:45現在96.113)まで、まるでつるべ落としである。今年に入ってこのような強い下落圧力を見せたのは2回目である。ドル高派の筆者としては、このしつこいドル売りはとても気になる。

為替の参加者を大きく分ければ、ドルは強くなると信じるドル高派と、ドルの時代は終わったというドル安派の二つあるが、筆者は、ドル高派だが、今はダーウインの心境である。お金は高い所に流れる、との考え方で、運用(買い)通貨を決めるが、これまで(少なくとも新型コロナ以前は)米国が一番高かった。高い要素は、信用力、成長力、収益力であり、米国はいずれも高く、合わせて世界幅広く調達運用ができるという流動性についてもずば抜けて高かった。

ところが、新型コロナが世界に拡大し、経済活動が縮小していくと、世界のGDPの約4分の1を占める米国ように規模の大きい国は、失ったときの大きさも甚大である。前記三つのうち成長力がマイナスとなり、政策金利も一足飛びにゼロになったことで収益力もなくなり、一気に普通の国になった。

そのうえ、全米にデモや暴動が拡大し、米中摩擦を激化させ、WHOからの脱退を決めたトランプ大統領の矢継ぎ早の政策転換で、世界からの信用力も色あせてきた。そのせいか、支持率は42.8%と低下し、反対に不支持率が54.2%と増えその差は拡大傾向が続いている。また大統領選挙に対する支持率も民主党バイデン候補が49.6%に対し、トランプ大統領は41.6%とこちらも支持を下げている(以上は6/8現在、RealClearPolitics調べ)。共和党重鎮であるパウエル元国務長官が、バイデン支持を明らかにしたことも、大統領選挙への混迷を深めている。

話を戻してドル下落の異常さを調べると、今回は下落期間が長すぎる。1回目は2月21日(99.870)から3月6日(94.875)まで11日間で約5%の下落であった。今回は12日間で3.7%の下落だが、週ベースでみれば、1回目は2週間だけの下落であったが、今回は5月18日の週(100.467)から4週連続して下落している。第2波のドル下落到来を思わせ、ドルの衰退がはじまったのではないかとの不気味さを感じる。

今回のドル下落要因として、今日のFOMCで、緩和策の新たな手法の導入が発表されるとの思惑が挙げられている。それは、既に日銀が採用している長短金利操作(イールドカーブコントロール)であるのは周知のとおりであるが、この操作により長期金利を下げ、金利水準を全体に低下させることを目指すとなれば、ドルの更なる低下の誘因ともなる。

こんな環境の中で、米国市場を中心に、「ドル 大幅下落近し!」のような見出しの記事が目に付くようになってきた。今後のドルの行方は、まずはFOMCを見極めてから、と言うことであろうが、よほど、強いドル買い材料が出ない限り、ドル売りにセットされたシステムボタンは止められないだろう。問題は、そのボタンをいつ押すかどうかである。引き続き突き詰めていきたい。

さて今後1週間の予想だが、ドル円は円高基調に変わり、106.50~108.50円と予想する。またユーロは、対ドルでは1.1200~1.1400、対円では121.00~123.00円と予想、また英ポンド/ドルでは、1.2500-1.2800と予想している。

(2020/6/10, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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