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第421回 ~思い込みは要注意~

2021年02月17日

 米国株が連日のように史上最高値を更新し、日本株も30年半ぶりに30,000円の大台を超えた。世界的に株高の流れは止まらない。先週、そろそろ黄色信号が出てきたと述べたが、今週の動きを見て、ますますその意を強くした。株式市場の話である。一度は大きな下落が起こる可能性がある。しかしドル円も、株式市場より時差はあるが同じ傾向(ドルの下落)を見通しておかなければならないと胸に秘めている。

 そのタイミングは、先週述べた三つの「高い」が消えた時。具体的には、米金利も約1年ぶりに1.33%まで上昇するなど、3月の中央銀行会合での緩和頭打ち示唆発言可能性や、バイデン政権のコロナ対応財政支出の遅れ、ワクチン効果の減退などである。現在は、それよりもバンドワゴンの如く、走る馬に遅れないように一斉に乗り込んでいる状態なので、膨れていることが気が付かないだけだ。

 それを知るとっておきのグラフがある。相場の上下動が人間の心理状態にどのような変化をもたらすか、いや、逆も真だが、人間の心理状態が相場にどのような影響をもたらすかを表すものだ。これは、以前から存在してるディーラーへの警告書というような文書の一部であるが、改めて現在位置を知るために紐解いてみた。スタートをゼロとして、ピークを5とすれば、株は4の位置(ただしドル円相場は2)にあると見える。今までの道筋はこうだ。前提として、機関投資家や、投機筋、プロ投資家がポジション(今でいえば、株買い、ドル売/円買い)を高めた後の相場展開である。

 わかりやすくするためにドル円で説明する。昨年8月から始まったドル円の下落基調は、今年1月6日の102.59円で底を付けた。その段階で、相場の流れが反転した(段階ゼロ)。
 段階1は、まずメディアで相場が転換したことを感じさせる記事やニュースが出始める時だ。この段階では、まだ疑心暗鬼で、一般投資家の動きは目立たない。しかし、上昇の方向が明らかになってくると、買い始めた人は、「思った通りだ」と安心する(段階2)。時には、投機筋や、相場のプロと言われる人から、自分も参加しているが如く発言が流れることがある。実際は、筆者の経験では、その時に利食いが行われていることが多い。

 そして今まで抵抗線になっていた短期戦を越えて推移し、下落しても今後はサポート線になって割り込まないという相場展開が続いたとき、「自分は正しい」と自分の予想に自信を深める(段階3)。その後も上昇を続けると自分の腕や、この流れがいつまでも続くという思い込み(妄想)に酔いしれ、気持ちも大きくなる。その時は、自分中心になり、多くの参加者が同じ気持ち(桃源郷にいるが如く)になっていることに気が付かないことが多い(段階4)。

 そしてピークが来て、ある時突然と相場崩れる(段階5)。エスカレーターアップ・エレベーターダウンが起こるのである。そこで起こるのが売りラッシュ、大暴落となる。一旦下げ止まっても、戻り売りで二番底、三番底が起こることになる。しかしこの段階5を察知するための秘訣もある。それが「渋滞理論」。これは別途日を改めて説明したい。

 ドル円に限って言えば、短期的(例えば週末、月末)には、ポジション調整のドル売りが入るであろうが、2~3か月は、ドル堅調が続くと予想している。さて、今後1週間の相場見通しは、ドル円はレンジが変わり105.00~106.50円を予想。ユーロは、対ドルでは軟調の1.1950~1.2150、対円では126.80~128.80円と予想。一方、英ポンドは堅調地合いが続き、1.3730~1.3980と予想する。

(2021/2/17, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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