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為替大観

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第427回 ~大いに気迷え~

2021年04月07日

 米国有力インベストメントバンクがドル売り戦略からの退出を決めたと報じられた。顧客への助言レポートで明らかになった。約半年前に2021年に向けての為替戦略として、米ドルショート(売り)を推奨、ドル円は95円という円高見通しも出した。筆者も共感するところがあり、大いに注目していた。

 しかしここにきて180度の方針転換となった。理由は簡単、売りでは儲けられなくなったからだ。今年に入って、経済指標の改善が顕著になり、米金利も上昇、10年債利回りは1.7%台まで上昇した。ドルインデックスも年初から3月末まで4.7%上昇、何よりも政治が安定化し、市場の最も嫌う混乱、不透明感が米国からかなり払しょくされた。お金は高い所に流れる通り、再びアメリカに還流してきた。信用力のある国の金利が高ければ、その国の通貨は買われるのは道理だ。教科書通りの相場になってきたと言える。「なるほど。ファンダメンタル相場に戻ったのだ」と、納得した。

 思い起こせば、2020年は、パンデミック相場となり、高い所に流れていたお金は一気に安全なところに場所替えをした。それは米国でなく、日本であった。新型コロナ感染の人数から見れば一目瞭然であった。ドル円は、コロナショックで101.18円から急反発し111.71円の高値を付けたあと、ジグザグしながら、ある意味規則正しくドルは売れらた。米ドルの連続的な下落はまるでエスカレーターダウンだ。バイデン氏が大統領に当選確実となった11月には、瞬間ドルは戻したが、トランプ大統領(当時)の反旗により選挙結果の確認が遅れ、米国の不安定懸念から再びドルは売られ、103円で越年した。

 その雰囲気ががらりと変わったのは、米議会でバイデン氏が、正式に大統領に当選が確定した2021年年明け1月6日のことであった。ドル円は102.59円で底値を付け、ほぼ1年の下落基調は終り、ドルインデックスも89.209から反転した。その後は遅れてきたバイデンラリーの如くドルは上昇した。問題は、これでドル安はないのかだが、ポジションを変えたということは、「ドル下落要素はなくなったのでドル高を予想した」ということになる。

 すこし、話がそれるが、筆者が為替ディーリングのヘッドの時、損失を抱えたまま、何もせずに相場の動きを見ていたディーラとの会話である。「どうして動かないのか?」「戻るのを待っているのです」。ドル買いポジションのまま、ドルは売られていた状態であった。「戻ると思ったら、なぜ買わないのか?」。考えようによっては、ナンピンは最後の手段であり、決して多用してはいけないが、その時は「自分の判断に自信があったら、相場の変化に敏感になるはず。ダメになったときの行動も早いはずだ。まずやってみたらどうか。何もしないのは不戦敗となる」。(もっともこれはディーリングを仕事にしている専門職の話なので、一般の人が、このように考えるのはすすめないが、相場の動きに立ち向かう心構えとして参考になれば幸甚である)

 さて、同社の今後の読みは、筆者も同感。米国の巨額の財政赤字、貿易赤字(いわゆる双子の赤字)の再燃、そして欧州のパンデミックからの早期回復で将来のユーロ高予想を挙げて、またドルショート戦略を再開すると示唆している。2021年に100円割れの予想はかなり少数派になったが、筆者は、まだ旗を降ろしていない。これから悩みながら釣り糸を垂れるがごとき、為替市場に参加していき、ドルの行先を求めていきたい。

 今後1週間の相場見通しは、ドル円は、109.50~111.00円と予想。ユーロは、対ドルで1.1750~1.1950、対円では129.00~131.00円と予想。一方、英ポンドは、1.3650~1.3950と予想する。

(2021/4/7, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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