FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

為替大観

最新の記事

第452回 ~強まる、高い所に流れるお金~

2021年10月06日

6連騰後の反落は2日間だけ、先週末に110円台に入り二日間下値トライを繰り返したが、110.80円は割らず(安値は10/4の110.82)、下値の堅さを確認した。ドル円は再び上昇基調に入ったことになり、先週指摘した三度目は小波となった。これまでの調整期間より短く、早くも仕切り直しとなり、今週にはドルは上昇の勢いを増した。今日は111.79円まで買われ、先月末につけた112円台をうかがう勢いが戻ってきたようだ。

このドル円の強さは、先週指摘した通りなんといってもドル金利の上昇の勢いである。10年債利回りは今日は今年6月以来の1.56%近辺に上昇、今週に入って既に0.12%も上昇し、日米金利差は拡大を続けている。このドル高は以前から言っていた「お金は高い所に流れる」ことが素直に反映されていると言ってよいだろう。

では、このままドル円は113円、115円、120円と上昇を続けていくものだろうか。この答えを解くカギは、あと二つの高いところ、すなわち「信用」と「成長」の観点で判断できる。その前に「金利」の点から最近の動向を確認しておきたい。

今日は、ニュージーランド(NZ)中央銀行が利上げを決定した。実に7年ぶりの利上げである。これまでの0.25%%から0.25%引き上げて、政策金利は0.50%となる。今回の利上げは、最新のインフレ率(6月分3.3%)がターゲットの1~3%(平均2%)をはるかに超えていたことで事前の予想通りで、驚きはなかった。しかしパンデミック以後、先進国では3行目となり、最近の世界中の利上げの流れが大きくなってきたことを確認させる出来事としてとらえられている。ただ為替面では、材料出尽くしの判断でNZは売られている(NZ$0.695→0.688/1US$)。

主要国は利上げにはまだ程通りが、新興国を中心にして、8月から利上げの連鎖が見え始めている。先鞭をつけたのはブラジルである。今年の3月から利上げを始めて0.75%を3回、8月、9月(23日)と2か月連続して1.00%ずつ引き上げ、現在の政策金利(Selic)は6.25%となった。引き上げの理由は、やはりインフレの高進であり、昨年12月の4.52%から今年7月は8.99%になり、8月は9.68%となった。ブラジル中央銀行の目標値は3.75%(±1.5%)であり、大きく上回っているので、今後も利上げが続いていくと市場では予想されている。

他に、韓国が8月25日に0.25%引き上げ0.75%に、次いでノルウエーが、9月23日に0.25%引き上げ、ゼロ金利から脱却した。いずれも物価の上昇が主な理由にしているがノルウエーは経済活動の回復も挙げており、ゼロ(あるいはマイナス)金利の弊害についても意識されてきたことが伺えられる。このほかにも、英国、カナダ、オーストラリアも政策金利の引き上げが視野に入ってきている。

「信用」については、格付けの引き下げやデフォルト懸念が起こる場合で、債券価格の低下で、問題が顕在化する。アメリカでいえば、債務制限問題の動向で左右されるが、緊急性がジワリ近づいていることが気になる。また、「成長」については、景気動向や、企業収益から判断していくことになる。その重要な指標が今週金曜日に米国で発表になる。それが雇用統計である。予想は、非農業部門雇用者数が60万人(先月実績が23.5万人)、失業率が5.1%(先月は5.2%)である。今日発表されるADPの数字と合わせて注目していきたい。

さて、今後1週間の相場見通しは、ドル円は、雇用者数の増加を材料にドル高基調継続とみて110.80~112.50円と予想。またユーロは、米国との経済格差、金融政策格差を背景に弱含みに推移すると予想、対ドルで1.1480~1.1680、ただし対円では先週と同じ128.00~130.00円と予想。英ポンドは1.3400~1.3700とポンド安基調と予想する。

(2021/10/6, 小池正一郎)

このページの先頭へ

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引、証券取引、および暗号資産CFD取引(暗号資産関連店頭デリバティブ取引)に関するご注意


【パートナーズFXおよびパートナーズFXnano】
パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの建玉必要証拠金金額は原則、一般社団法人金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第31項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。但し、一般社団法人金融先物取引業協会が為替リスク想定比率を算出していない通貨ペアにつきましては、一般社団法人金融先物取引業協会と同様の算出方法にて当社が算出した為替リスク想定比率を使用しております。取引手数料は無料です。なお、外貨両替については1通貨あたり0.20円、受渡取引については1通貨あたり0.10円の手数料をいただきます。

【CFD-Metals】
CFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。

【証券】
国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.75%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,750円(消費税込み)をいただきます。有価証券のお預りが無く、一定期間証券口座のご利用が無い場合等は、別紙 ①「手数料等のご案内」に記載の 証券口座維持管理手数料1,100円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

【暗号資産CFD】
暗号資産は法定通貨(本邦通貨又は外国通貨)ではなく、特定の者によりその価値を保証されているものではありません。暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済に使用することができます。暗号資産CFDは、取引時の価格の変動により、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。暗号資産CFDの取引に必要な証拠金は、取引の額の50%以上の額で、証拠金の約2倍までの取引が可能です。取引にあたり、営業日をまたいで建玉を保有した場合にはレバレッジ手数料が発生します。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会 一般社団法人日本暗号資産取引業協会

このページの先頭へ

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 為替大観 > 第452回 ~強まる、高い所に流れるお金~