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第456回 ~パウエル対ブレイナード~

2021年11月10日

前回の当コラムから2週間、振り返ってみれば、10月のドル買い熱気が冷め、11月はクールダウンともいえる相場調整で始まった。ただこの展開はドル高の終わりでなく、膨らんだポジションを整理して、ドル買い第2弾に備える体制整備の期間とも考えられる。この立場に立つ者にとっては、調整が終われば一回は115円突破の場面があると考えるだろう。

この間、日欧米英中央銀行の金融政策を決定する会合が開催され、米国雇用統計(11/5)や、物価関係の諸データが発表された。日欧は事前予想通り現状維持、特に注目された米FOMC(11/2-3)」では、こちらもほぼ確定と予想されたテーパリング実施が正式に決定された。一方英国中央銀行(BOE)は、予想を裏切った形になり、利上げは行わず、現状維持となった。チャート的にも、心理的にもドル売りに入りやすい地合いであったこともあり、ドル売りの調整が起こったものである

このような市場の空気の中で、個人的にここで気を引き締めていることは、「安易にドル買いに走らない」、ということである。現在の金融・経済情勢(後述)を考えれば、ドルは売られる要因より、買われる要因が勝っている。115円突破に向けて、じりじりとドルは値を上げていくことが自然の流れかもしれない。筆者もこの見方が市場のコンセンサスになっていることは承知している。

また「一度は神の救いあり」という言葉がある。何度も救われたことがある筆者の経験則の一つである。もう一度115円に近付く場面が来ることを否定はしていない。ドル高要因として、①米国金利は物価上昇が続いていることを背景に、中長期的には金利は上昇傾向が続く。日米中央銀行の金融政策の差は明らかに金利差拡大をもたらす。

また、②財政面でも米国は投資の拡大に向かって他国に先行している。今週(11/5)5年で1兆ドルというインフレ投資法案が成立し、総額1.75兆ドルの子育て支援・気候変動対策も合意を目指して次に控えている。そして、③米国経済は、第4四半期も第3四半期(+2.0%)比大幅な拡大が見込まれている(FRBアトランタのGDPナウの予測は+8.5%(11/4現在)、好調な景況感、雇用統計を反映している)。

では、ドルが下落する要因は何か。はっきり言って、今すぐ起こると予想できる決定的なものはない。しかし潜在的な要素はたくさん持っている。個別には、タイミングをみて明らかにしたいが、今週飛び込んできたニュースには、思わず「これもその一つ!」と思わせるものであった。それは「バイデン大統領が、FRBのブレイナード(Lael Brainard、59)理事とインタビュー」であった。現在のパウエル議長の任期は来年2022年2月5日であり、報道によると、早急に、遅くとも感謝祭(11月25日)までには後任を決めるとの見通しがある。ブレイナ―ド氏は2014年6月にオバマ政権時に就任、生粋のハト派と言われている。パウエル氏は続投にやる気満々だが、ブレーナード氏となれば、金融政策も緩和基調が続くと期待され、そうなればドル高の機運も萎える可能性もある。バイデン大統領の決断が待たれる。

さて、今後2週間の相場見通しは、ドル円は112.75~114.25円と予想。一方ユーロは、対ドルで1.1475~1.1675、また対円では130.00~132.50円と予想。英ポンドは 1.3450~1.3650とポンド安を予想する。

(2021/11/10, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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