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第458回 ~パウエル 2.0~

2021年11月24日

今日は115.24円までドルは上昇、2017年3月以来のドル高となった。1週間前(11/16)に114.97円を付けて以来、破れなかった115円の壁を昨日4回目の挑戦で突破、相場は新しいレンジの足場を本格的に模索始めた。

きっかけは、バイデン大統領が、来年2月4日に任期が来るパウエル議長の後任に同氏の再任を指名したことであった。事前には、現在理事のブレイナード氏も候補と考えられ注目度が高まっていたうえ、バイデン氏が感謝祭(11月25日)前に決めると言明していたので、結果によっては相場に影響が出ると、金融市場ではその発表を待ち構えていた。

結果は、パウエル氏の再任。ブレイナード氏の場合は、同氏が筋金入りのハト派であることから、引き締め(テーパリングのペース、利上げのタイミング)が後ずれ、ドル相場や金利は軟化するとみられていたので、市場はパウエル氏の政策が裏付けられたとして、ドル金利が上昇、つれてドル高の流れが一気に動き出した。米10年債利回りは、11/23日(終値)には1.676%と、先週末0.1%近くも上昇、特に金利差拡大が顕著なドル円が先に上昇、難なく115円を突破した。

パウエル氏が指名されたことによって、今月から始まったテーパリングが着実に実行され、政策金利も来年には2回の利上げの確率が高まったとの判断だが、今後、上院での承認を経て正式に決定する。現在上院の議席は50対50だが、民主党内での反対(ウォーレン議員に加え昨日2名の反対表明があった)があっても、共和党議員の多くは賛成を投じるとの見通しがあり、承認されるのは間違いないはずだ。

これで、パウエル氏は、4年間の任期で、パンデミック対応で導入した異常事態の正常化(ゼロ金利と超大型資金供給の緊急措置からの脱却)にまい進するすることができる。最初の政策発表は来月の金融政策決定会合(連邦公開市場委員会、FOMC、12月14-15日)で明らかになる。そのポイントは二つ、テーパリングについて、2022年1月からの減額規模の変更の有無と、利上げの時期と回数である。

テーパリングは既報の通り、昨年3月から行っている市場への資金供給(毎月1,200億ドルー国債800億ドル、住宅債券400億ドルーの債券購入)を徐々に減額することだが、11月には、12月までの2か月間だけ、月150億ドルづつ減額することを決めている。この金額を維持していけば、来年6月には増加分がゼロになるが、インフレが進行していることを背景に、この減額ペースを加速させる可能性がある。

もう一点は、利上げ時期と回数である。9月のドットチャートで、2022年には、2回の利上げが見通されている。減額ペースの前倒しとセットになる考え方だが、早ければ2022年6月の政策金利引き上げの可能性も出てきた。ちなみに、先物市場(シカゴマーカンタイル市場、CMEのフェドウォッチ)から判断される引き上げ確率は1週間前より上昇している。2022年6月(15日)については、現状(0-0.25%)維持が低下(11/17の34%から11/23には26.5%に低下、以下同じ)、一方で1回引き上げが46%と変わりがないが、2回引き上げ予想が17%→23%に上昇。また9月FOMCについては、現状維持と一回引き上げの合計が、44%→37%に低下、2回以上の引き上げが56%→62%の上昇となっているが、この割合の差は徐々に拡大している。

この2点とも、12月のFOMCには、ある意味今年度最大の注目点になると思われる。それに向けて、ドル円は底堅く推移していくと予想している。さて、今後1週間の相場見通しは、ドル円は114.30~115.80円と予想。一方ユーロは、対ドルで1.1150~1.1350、また対円では128.50~130.50円とユーロ安を予想。英ポンドは 1.3250~1.3450とポンド安を予想する。

(2021/11/24, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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