次回の『為替大観』の更新は、5月11日となります。
ドル円はようやく円安一直線の値動きが収まってきた。その代わり、市場参加者の目は欧州通貨に移ってきたようだ。先週末のポンドの急落に次いで、日曜日の仏大統領選挙決選投票を挟んで、今週はユーロ売りが膨らんできた。日本は来週(人によっては、今週金曜日29日から)ゴールデンウイークに入る。脳裏に浮かぶのは二つ、まず、「日本市場が休みの時は相場が荒れる」。二つ目は、来週から5月、「セル・イン・メイ(5月は売れ)の動きに気を付けろ」である。
その前に現在の市場環境と、今後2週間のイベントを展望する。先週20年ぶりに、129.40円の円安となったあと、速度違反気味のドル急上昇とドル売り介入に対する警戒の高まりでドル円は調整に転じたうえ、ユーロの大幅下落によるドル買い/円買いの動きで126.94円までドルは下落し、円は買われた。ユーロの下落は、ある程度は予想(先週提示1.0650-1.0900)していたし、本日午前中までは、その予想に近い水準で動いていた。しかし欧州市場が開くと、ユーロ売りが増え、あっという間に節目の1.0600を割り、1.058台まで下落、2017年3月以来のユーロ安水準となった(18:25現在、1.0615近辺迄回復)。
この動きは仏大統領選挙結果を反映していると考えられる。選挙前には、ルペン候補が勝利の時は1.05割れもあり得るとの予想があった。しかしマクロン大統領の再選によりその可能性はなくなったと見ていた。しかし、市場はルペン候補の得票率が大きく増えたとの投票結果に注目したようだ。前回2017年のマクロン氏66.10%、ルペン氏33.90%に対し、今回のマクロン候補は58.54%に下げ、ルペン候補は逆に41.46%を獲得した。ルペン氏も敗北演説ながら「勝利した」と発言した旨が伝えられているので、国民連合の支持が増えたことに手ごたえを感じているに違いない。一方マクロン氏にとって、勝利はしたが今後の政局運営には試練が続く。6月12日、19日に下院の総選挙があり、2023年には上院選挙も予定されている。しばらくユーロ相場は軟調で推移すると考えざるを得ない。
明日は、日銀政策決定会合の結果が発表になる。今回は展望レポート(含:日銀版ドットチャート)が発表されるため、注目度が高い。介入問題を含め、円安進行に対する日銀(黒田総裁)の基準感や見解も浮かび上がることは間違いないであろう。来週のFOMCで、米国が大幅な引き締め政策を導入することは間違いないと日銀は認識しているはずだ。0.5%の利上げは確実、場合によっては0.75%もあり得るし、資産残高の減額も早急に開始されるだろう。
このような環境の中で、すべて現状維持では円安が再燃しかねない。変更の可能性としては、政策金利は現状維持ながら、10年債の誘導金利(現行上限:+0.25%)を引き上げるか、証券購入など資産買入の金額を減額することも考えられる。展望レポートでは、物価見通しを引き上げる可能性が高い。消費者物価指数が、4月から大きく上昇することが予想されているからだ。これまで消費者物価の引き下げ要因となっていた携帯電話料金の寄与率が4月から大きく低下するうえ、最近の値上げラッシュの影響が出てくると考えられるからである。
さて、いよいよゴールデンウイークに入る。そこで、冒頭で記載した2点について調べてみた。ゴールデンウイーク期間中の値動きを過去3年見ると、傾向的に乱高下している。そのうえで、方向転換をしている年もある。また、5月売りについて、その言葉の続きにある「9月に買い戻せ」という観点で、過去10年調べてみた。結果は5勝5敗だったが、最近3年間では2勝1敗であった。個人的には、今年は機能すると予想している。
さて、今後2週間の相場レンジ予想(次回更新は5月11日となります)であるが、ドル円は、126.75~130.75円だが、前半円高、後半円安と予想。一方ユーロドルは、1.0550-1.0900、ユーロ円は、134円-138円と予想する。また英ポンドドルは1.2400-1.2900と予想する。
(2022/4/27, 小池正一郎)