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第482回 ~チャートで読む円相場~

2022年05月25日

今週の命題は、この先どこまで円高が進むのか、もう円安は終わりなのか、についてである。この1週間、流れはドル全面安となった。その要因は、簡単に言えば、これまでドルが買われていた理由が反転したこと、すなわちドル金利が低下したことである。米景気が停滞気味で、特に住宅市況や、地区連銀調査の製造業景況感が悪い。景気後退懸念を広げ、債券買いが高まり、金利の低下に結びついた。消費者物価も高水準ではあるものの、前月より低下しており、インフレ懸念が多少和らいだことも背景にある。

まず、これまでの流れを整理する。先週の本コラムでの予想と比べると、ポンドは予想とピッタリ。ユーロは高値が100ポイントずれたが、安値は予想通り。ECBのラガルド総裁による7月以降の利上げ示唆発言を別にすれば、ほぼ読み通りとなった。

しかしドル円は全くはずれで、昨24日には126.36円まで売り込まれた。4月18日以来の円高水準である。先週の予想と比べると、ドル円は両サイドとも約1円30銭円高方向となった。2週前には、急速な速さでの円安進行に調整は必要であり、その下値メドとして127.56円を示した。円安要因の急速な改善もないだろうとの見方から、調整も徐々に行われるとの考えであった。しかしその調整スピードは速く、一気に126円台までドルが売られたことは予想外であった。しかし、後付けにはなるが、チャートをしっかり読んでいれば、この流れも予想できたはずであった。

そこで、チャートの登場である。これまでのドル高推移は、3月7日の週から5月6日に終わる週まで、9週連続のドル高となった。この期間の四本足は、(寄付)114.88円、(安値)114.81円、(高値)131.25円、(終値)130.48円である。しかし10週目の初日5月9日に131.35円という20年ぶりの円安を記録したあと、そこを天井にドル円は下落、今日現在、3週連続して陰線(ドル安)が続いている。

この期間で特に、円安がひとまず天井を付けて、調整に入るとの予想ができたはずだと反省している。その事象をあげると、①一定期間上昇後、高値を付けた日のローソク足が特別な形(今回は長いヒゲの十字星)であったこと、②日足が移動平均線を割り込んでいたことである(今回は5/12に発生)。

具体的に言うと、①131.35円の高値を付けた日(5/9)は、日足でみると長い上ヒゲを付けた十字星(寄付、終値がほぼ同値)という形になっている。これは方向転換を示す重要なサインだ。確かにその日から続落し、4日目(5/12)に127.51円まで売られた。そして②5/12の日足が、3月8日以来初めて短期移動平均線(21日MA)を割り込んだことだ。2か月ぶりの変化で、ドル安への変化を示唆した。今日の21MAは129.08円であり、現在もこの状態は継続中である。

そこで、今後もドル安は続くか、チャートはどのようなサインを示しているか、だ。これは別のテクニカル分析となるが、③一目均衡表で、転換線(短期)が基準線(中期)を割り込んだことで、短期的にはエネルギーがドル売り方向を示していることがあげられる。しかし④今週の週足次第では、ドルがもう一段の低下となるか、ドル高へと反転するか、見方が変わってくる、と言う点も重視したい。

あくまでの筆者の経験則ではあるが、今週の終値が寄付の127.64円よりドル高・円安になると、ドルは反転し、130円台に向かっていく。一方127.64 円以下になれば、いわゆる三羽烏(3週連続の陰線)の形となり、さらなるドル安の可能性が出てくるというものだ。引き続き市場は気迷い気味であるが、筆者はまだ円安は終わっていないと考えている。

さて、今後1週間、ドル円は、126.20~130.20円と予想。一方ユーロドルは、利上げ期待でユーロ高の1.0500-1.0800とユーロ堅調を予想、対円では、134.00円-137.50円と予想する。また英ポンドドルは1.2250-1.2550とポンド安を予想する。

(2022/5/25 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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