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市場養生訓

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第699回

2017年12月12日

 今週は、米国、ユーロ圏、英国などで金融政策を決める会議が開かれる。中でも米国とユーロ圏が興味深い。英国はBREXITの会議の方が注目度が高いし市場への影響も大きい。

 FOMC(米公開市場委員会)は0.25%の利上げが既定路線だが、イェレン議長のFOMC後の最後の会見が興味深い。FEDのバランスシートの縮小とともに利上げは徐々に行うことを示唆してきた。委員の中では来年の利上げの回数は3回が平均的な見方だ。

 こうした従来の見方がトランプの減税政策や規制緩和策を受けて変化するのか。景気刺激効果を考慮して従来よりもタカ派的な見解を示す理事が多くなるのか。今回はトランプにより任命された最初の理事も見通しを表明する。どんな見解の持ち主なのか。

 現在の市場でドルが堅調なのは金利差だが、特に市場は2年債に注目している。政策金利を反映して動きやすいからだ。

 ただ為替レートの変動要因として金利差を見る場合、10年の長期債を指標にするときもある。これは機関投資家などによる資本移動が活発な時である。さらにユーロ(オフショア)市場の3か月物金利やもっと短期の市場金利を指標として見るときもある。短期のスぺキュレーターがポジションのロールオーバーをする際スワップポイントに関係するからだ。

 一方でユーロ圏の中央銀行のECBは2020年までの経済やインフレ見通しを明らかにする。前回、国債購入額の縮小と利上げは19年くらいなる見通しを示したが、その前提条件に変化があるのか。利上げが前倒しになる可能性があるのか、などをECBのドラギ総裁の会見などから判断することになる。

 こう見ると市場の指標は金利差を反映してドル高が進むことを示しているが、市場は別の指標も示している。

 ドル債のイールドのフラット化だ。米国債の2年債と10年債のイールドの差は50ベーシスポイントを下回っている。2年債のイールドが上昇している割には10年債のイールドが上昇しないためだ。

 イールドカーブの形状についての解釈はいろいろあるが、フラット化さらにその先の逆イールドは将来の景気悪化の可能性を示すとの解釈もある。

 減税策などで官民の債務が拡大する中で利上げが進行すれば、将来急激な景気の落ち込みの可能性が出てくる。この可能性を現在のイールドカーブが示しているとも読める。

 イェレン議長が先日の議会証言で指摘した米国の債務の拡大は将来のリスクとの指摘と重なる。


※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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