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市場養生訓

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第693回

2017年10月24日

 総選挙は自民党が大勝し、円安株高が進行した。アベノミクスが強化されると市場が捉えたからだ。アベノミクスの中身は金融緩和、財政拡大、規制緩和だが、果たしてどうだろうか。

 13年の安倍内閣誕生の時に比べれば、アベノミクスの中身はかなり変質している。だが当時の円安、株高が強烈だったので、市場参加者はその再現を期待している。期待するのはいいが、中身を伴わなければ長くは続かない。

 金融緩和にしても当時は一つの緩和政策を打ち出しても次にはさらなる緩和政策をという状況だったが、現在は一層の緩和政策よりもいつ緩和政策の縮小を目指すかという方が現実的な選択になっている。ECBが緩和政策の縮小を決めれば日銀もなおさらその方向が明確になってくる。

 そのECBは今週の木曜に政策委員会を開く。量的緩和政策の縮小を決める可能性が高い。2015年から始めた国債などの買い入れだが、現在は月600億ユーロのペースで購入しているが、これを徐々に減らしていく。

 当初は来年6月で債券購入は終了との見方があったが、現在は来年いっぱいは購入を続け、月200億ユーロくらいまで減らす見方が有力だ。利上げはその後になる。

 つまり金融緩和の縮小のペースは極めてゆったりとしたものになる。こうしたメッセージをECBは市場に与えることを望んでいる。それは金融緩和の縮小というシグナルでユーロ高になるのをECBが望まないからだ。

 ユーロ高はインフレ率の上昇を目指す政策に反するし、企業収益にもネガティブな影響が多い。

 ただユーロの基調は強い。フランス大統領選の頃から政治リスクの低下や景気の上向き傾向によりユーロは上昇傾向を示してきた。また外貨準備の占めるユーロの割合を見ても増加傾向にある。中長期のポートフォリオでのユーロの比重が変化した可能性がある。

 こうした状況での緩和縮小はそれがスローペースではあっても、ユーロにポジティブに作用する可能性がある。

 一時は緩和縮小が予想よりスローになると言うことで、ユーロは売られ頭を押さえられたが、トレンドが変わるほどのことではないだろう。

 トレンドが変わるとすれば、それはユーロの要因ではなくドルの要因になる。つまりドル高の進行だ。

 米国の利上げ、FEDの議長人事、減税案などドル高に作用する要因はある。だがどれも確たるものはない。ドル高には限界があると見ている。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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