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市場養生訓

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第784回

2019年09月03日

 ユーロやポンドが弱含みだ。アルゼンチンペソは再びデフォルト騒ぎで叩き売られている。人民元は7.0超え以降も下落傾向が続く。世界のどこを向いても弱い通貨ばかりだ。対ドルの話だ。

 そうした市場環境の中でアジアに新たに安全通貨/避難通貨が生まれた可能性がある。タイバーツだ。

 8月初めの人民元の7.0超えは特にアジア通貨への下落圧力を強めた。アジア諸国の交易条件の悪化が見込まれるからだ。実際にインドネシアルピアやフィリピンペソは人民元下落を契機に下落傾向を強め、マレーシアリンギや韓国ウォンは今年最安値を更新している。インドルピーも最安値近辺で推移している。

 そうした中でタイバーツは今年最高値を更新している。例外的な動きだ。確かにタイは、経常収支は黒字を維持し、5年ぶりに軍事政権から民政に復帰し、投資環境の改善も期待される。だがそうした要因だけではバーツの逆行高を説明するのは難しい。

 そこでバーツが安全通貨の役割を市場から賦与されたのではないかという仮説が出てくる。最近の市場の特徴としてリスクオフ取引の増加がある。米中貿易戦争や様々な地政学的リスクの高まり、不確実性の拡大などが市場参加者にリスク回避姿勢を促す。その結果として各国の国債や金の需要が高まり、通貨では安全通貨の需要が増す。スイスフラン、円、ドルなどがその代表的な通貨だ。

 安全通貨の条件としては、政治の中立性、金融の信頼性(スイス)高水準の市場流動性、法的環境の整備、政治の安定(日本)基軸通貨、高水準の市場流動性、信用力の高い金融機関(米国)などが挙げられる。

 タイが市場、政治、法、信用などで十分な安全通貨の要件を備えているかは定かではないが、それぞれの面で急速に改善していることは確かだろう。

 ただ現在、安全通貨としてバーツが買われているにしても、それが続くとは限らない。これまでもスウェーデンクローネやポンドがユーロ危機の際には安全通貨として買われた。ロシアに対する経済制裁が発動された際には香港ドルも安全通貨として買われたことがあった。だがそれは一時的で、円、スイスフラン、ドルのように局面が違っても安全通貨としての需要が続くことはなかった。厳密にいえばドルも局面によって安全通貨とみなされないことがあった。

 それにしてもタイバーツは97年のアジア通貨危機の時に真っ先に激しく売られた通貨だ。その通貨が今、安全通貨の可能性を問われるとは。この20年間のアジアの発展と変貌の深さをあらためて思い知る次第だ。


※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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