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市場養生訓

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第802回

2020年01月28日

 FEDが政策金利の引き下げをストップし、今年は安定した金利水準の見通しを示した。市場も同様な見方でスタートした2020年だったが、早くも様相の変化の兆しが出てきた。全般的に金利水準が低下の気配がある。
 今週BOEの政策委員会が開かれる。政策金利を0.25%引き下げ0.5%にする可能性がある。中立と見られた政策委員の中に利下げを示唆した発言をした者が出たので俄かに利下げ機運が高まった。もっとも直近の経済指標には良好なものもあるので、可能性は五分五分だ。その点で市場は結果によって変動する可能性が高い。そこで市場の注目を集めている。
他の注目点もある。総裁のマーク・カーニーにとって最後の政策委員会になる。カナダの中央銀行総裁の経験者だが、BOEの総裁として非英国人の異例の就任だった。実績を示し任期の延長もした。次は国連の気候変動の仕事のようだ。以前、金融安定化委員会の議長の時、金融機関の規制を巡り、JPモルガンのCEO達と激論を闘わせたように、今後も米国などと闘い続けるに違いない。
FOMC(米連邦公開市場委員会)も今週あるが、金利の変更がないことは確実だ。ただ先行きの金利について市場の見方に大きな変化が生まれている。直近の金利の先物レートから類推する可能性では、9月に0.25%の利下げをする可能性が最も多く、12月には追加利下げの可能性も高くなった。今年2回の利下げだ。
年初と比べると市場の見方も変わったが、それは米中貿易戦争の一時的休戦にもかかわらず再発の懸念があること、欧州との貿易戦争の可能性、さらに実行中のFEDの短期の流動性供給オペレーションが実質的な量的緩和政策との見方があることなどが背景にある。IMFも米国をはじめとして今年の世界経済の見通しを引き下げた。中国経済の減速もある。
もちろんコロナウイルスの影響もある。世界経済への影響は計り難いリスクだ。
金利低下の流れは先進諸国に限ったことではない。新興市場国も本来ならドル金利の下げが止まると資本流出傾向になり、利上げの流れになるのが一般的だ。ところが利下げを実行する国の方が多い。マレーシアやトルコとなどだ。
ドル金利について、もしこうした市場の見方が正しいとすれば、米国の景気は減速するので、トランプは再選に向けて景気刺激策を採る可能性が高い。それに貿易戦争にも強硬な姿勢を採るはずだ。
コロナウイルスは数か月で収束するとの見方はあっても、それで市場の安定が戻るとは言えない。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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