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市場養生訓

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第816回

2020年06月02日

 3月に金の先物価格と現物価格のスプレッド(開き)が70ドルにも広がり、大きな話題になった。普通なら2,3ドルの開き程度だから、ほとんどの市場参加者にとってはあり得ない事態と感じたはずだ。
 コロナウイルスの影響でスイスの精製所の閉鎖や空輸便の欠航などで現物と先物の裁定取引に制限が加わったことなどが要因とされる。ちなみに金は現物がロンドン市場、先物はニューヨーク市場が中心的役割を果たしている。
 金だけでなく多くの金融商品で現物と先物市場が存在する。歴史的に先物市場は現物価格のヘッジ取引や投機取引のために生まれたものだ。
 先物市場の価格はほとんどの場合将来の価格の予測、それに基づく需給で決まる。だから金の先物価格が現物価格と70ドル開いても、それは驚きではあるが,あり得ることだ。将来の金の高騰を市場参加者がそのように予測した結果だからだ。
 だが先物市場の価格が将来の予測に基づいた価格形成ではない金融商品の市場が例外的にある。為替市場だ。
 為替の場合、直物市場と先物市場という用語を使う。直物と先物のスプレッドは2通貨の金利差で決まる。先物レートは市場参加者の将来の予測レートではないのだ。
 それを証明するために仮に先物レートが将来の予測レートだったらどうなるか。
 例えば、次のような市場があるとしよう。ドル金利1年物1%、円金利1年0%、直物ドル円100.00、円高予測が強く1年先物が90.00。金額は百万ドル。
 この場合、百万ドルを1年1%で借りる。それを直物で売る、レートは100.00.手に入れた1億円を0%で運用する。同時に先物で百万ドルを買う、レートは90.00.先物で買うドルは、借り入れたドルの返済に充てる。金利分1万ドルの買い入れに必要な円は90万円。先物で売る円(9千万円)は運用の戻り金1億円を充てる。
 この一連の取引で1年後の円のキャッシュフローは、-90万円+1億円―9千万円=9百十万円になる。
 つまりキャッシュフローもカバーし、為替リスクを負わずに利益が出る。こんなにおいしい話はない。だから直ちに次々とこの取引が行われる。どこまで続くか。利益が出る間だ。先物レートが99.00になるまでだ。正確には直物と先物の差が金利差である1%になるまでだ。それは1円のスプレッドになる。だから金利差と無関係な先物市場は成立しない。
 なお上記の計算ではドルの金利部分の買い入れに90.00を使っているので、理論値とずれる。直物レート100.00を使うと理論値と一致。
 この例で分かるように為替の先物レートは予測などに基づいたものではないのだ。ただ金利差が正確に反映するのは何の規制もない市場でのことで、現実の市場では税などの規制や手数料などが加味されるので理論値通りにはいかない。ただ大枠では金利差に規定されているので大きくずれることはない。
 

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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