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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第574回 経済指標に対する市場の感応度は戻りつつある…

2017年04月03日

 先週30日に発表された米10―12月期GDP・確報値は前期比年率+2.1%と市場予想の+2.0%を上回り、同期間の米個人消費は+3.5%と改定値の+3.0%より大幅に上方修正された。前回更新分の本欄で述べたとおり、一段と改善傾向を強めている雇用情勢を背景とする賃上げ期待の高まりもあって、米個人消費は着実に活発化してきている模様だ。
 先週27日に一時110.11円まで下押したドル/円は、米GDPの強めの結果などを受けて31日には一時112円台を回復する動きを見せた。ただ、同日のNY時間入り後にはやや勢いを失い、再び111円台前半の水準まで値を沈めている。
 ダドリーNY連銀総裁がブルームバーグテレビジョンのインタビューに応えて「利上げを慌てない」旨の発言をしたと伝わったことから、31日の欧州時間帯に一時2.43%に迫る場面もあった米長期債利回は2.38%台にまで低下。これを受けて弱含みとなったドル/円のNY終わりは111.39円となり、前週に引き続いて一目均衡表の週足「雲」上限付近で週を終えることとなった。
 今週もドル/円の週足「雲」上限は111.36円に位置しており、同水準は一つの節目として意識されやすい。また、先週ドル/円の下値を支える役割を果たした31週線の存在も引き続き意識しておきたいところである。

 なお、先週末にかけてドルがやや強含みの展開となったのは、28日以降にユーロ/ドルが一気に下げ足を速めたことにも因る。いまさらと言っては何だが、先週29日に英国のメイ首相が欧州連合(EU)に対して正式に離脱を通告し、あらためて先行き不安感が強まったこともユーロが下げた要因の一つと言っていい。
 原則2年間の英国とEUの交渉は端緒についたばかりだが、あまりにも前途多難で先行きは不透明に過ぎる。もちろん、残るEU加盟国の今後の動向についても要警戒の状態は続く。先週29日には、ロイターが匿名の当局者による情報として「ECBでは複数の政策当局者が6月より前に政策メッセージを変更することに慎重になっている」、「ECBの当局者1人が3月9日のドラギ総裁会見のメッセージは拡大解釈されていると述べている」などと伝えた。
 情報の真偽のほどは定かではないが、言うまでもなく「6月より前」というのは仏大統領選を意識したものと考えられる。また。3月9日のドラギ会見を「市場が拡大解釈している」との見方は、筆者を含め少なからぬ市場ウォッチャーらが共有するものと言えるだろう。ドラギ総裁は「成長へのリスクバランスは改善した」と述べたが、それはあくまで「緊急対応の要は薄れた」といった程度の意味合いであると思われ、「今後直ちにECBがテーパリング実施に向けた具体的な検討に入る」などと解釈するのは早計であろう。

 先週末には、米大統領が貿易不均衡の是正を目指す大統領令に署名したとのニュースも伝わったが、今となっては大統領令を振りかざす“やり口”にもだいぶ手垢がついてきたように思われる。4月中旬あたりから、いよいよ日米経済対話が始まるわけだが、その現場ではより現実的な対応の方策が双方の実務担当者レベルで協議されることとなろう。
 いよいよ4月に入り、3月末のギリギリまで見られていた本邦機関投資家らによる期末対応の動きも消滅する。あらためてドルや日本株が買い直されるかどうかは、一つに米経済市場の結果にもより、その意味でも今週相次ぎ発表される重要指標の結果は大いに気になるところ。ここにきて、経済指標の結果に対する市場の感応度は徐々に戻ってきつつある。全体に強めの結果が得られれば、少なくともドル/円は一目均衡表の日足「雲」下限あたりの水準、113円台前半あたりを視野に入れると見られる。
(04/03 09:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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