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第576回 今しばらくは朝鮮半島情勢を注視

2017年04月17日

 先週は、先々週(3~7日)に相次いだ各種の重要イベントを通過し、相場全体に一種のアク抜け感が拡がる可能性もあると見ていた。しかし、結局は週を通じて地政学的リスクの高まりを軽視できない状態が続き、ことに15日の北朝鮮における「太陽節」祝賀の大イベントを控えて軍事的緊張が高まったことにより、全体にリスク回避ムードが色濃い展開も続くこととなった。
 結果、米長期債利回りは一時2.2%付近まで低下してドルが売られ、同時に緊張の高まりで円が買われる展開となり、ズルズルと下げ続けたドル/円は108円台半ば付近の水準を試すこととなった。つまりは、昨年6月安値から12月高値までの上昇に対する50%押しの水準をも下回ることとなったわけである。

 ここで一つ意識しておきたいのは、昨年12月15日高値(118.67円)と今年2月7日安値(111.60円)、3月10日高値(115.51円)をもとに弾き出される「N計算値」=108.44円前後ということになろう。また、先週14日にはドル/円が200日線(現在は108.73円)を下抜ける動きも見られており、本日(17日)の終値を確認したうえで、とりあえず同線が下値サポートとして機能するかどうかを見定めることも非常に重要であると思われる。
 思えば、1月の米大統領就任以来、昨秋の大統領選で掲げた目玉の経済政策はもとより入国制限やオバマケア撤廃などといった公約の大半をいまだ実現させることができていない。その意味からすれば、いわゆるトランプラリーでドル高・円安方向に向かった値動きの一定部分が失われることは致し方ないとも言える。
 もちろん、その間にも米景気の拡大が続いていることは間違いなく、トランプラリーが完全に“往って来い”となるのもどうかとは思われる。ただ、一方で米大統領が軍事的な強硬姿勢をアピールすることで一定の支持を取り付けよう(少しでも支持率を取り戻そう)としていることも事実で、結果的に地政学的リスクが一層高まって、そのぶん円高方向へのベクトルが強まっていることもまた事実ではある。

 朝鮮半島情勢のきな臭さは、今しばらく続く。周知のとおり、来週25日には朝鮮人民軍の創設85周年という記念日が控えており、また5月9日には韓国大統領選も予定される。よって、まだまだ北朝鮮が国威発揚のために何らかの行動に打って出るリスクは残る。そもそも、北朝鮮近海に米原子力潜水艦カール・ビンソンや駆逐艦、巡洋艦などが到着するのは4月下旬頃とされている。実に様々な憶測や噂が飛び交うなか、その真偽のほどは不明ながら、市場に漂う警戒ムードが解消に向かうまでには暫くの時間と段階的な事態の収束が必要となることだろう。
 実際、北朝鮮は昨日(16日)午前に弾道ミサイル1発を発射し、直後に爆発したと伝えられたこともあって、週が明けた本日のオセアニア時間からドル/円があらためて売られる展開となっている。このような状態が続く間は、なかなかまとまったポジションを構えることもできない。
 一方、欧州ではいよいよ1回目の仏大統領選の日程を迎える。足下のユーロ/ドルは先週10日に一目均衡表の日足「雲」下限が位置するところで一旦下げ渋ったが、目先の戻りは自ずと限られ、先週末の終値は再び日足「雲」のなかに潜り込んだ。
 市場の関心は主にECBの政策方針に向けられているが、その政策方針は多分に仏大統領選を意識したものでもある。少なくとも、3月下旬頃までのユーロの戻りは市場の誤解や拡大解釈に基づくものであったと考えられる。ECBは仏大統領選の決着がつくまで現行の政策方針を変更しないだろうし、そうであるならばユーロ/ドルを売り戻す動きも今しばらくは見られることとなろう。
(04/17 09:15)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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