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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第600回 基本的にはドル高の流れが強まる状況だが…

2017年10月23日

 前回更新分の本欄で「10月中旬にも上院で採決する予定となっている予算決議案が通過すれば、税制改革法案を与党・共和党が単独で可決することも可能になり、米税制改革への動きがさらに前進するとなれば、それは強めのドル買い材料」などと述べた。先週末20日、日本時間の午前11時前あたりから見られたドル買いの動きは、まさにそれだ。
 周知のとおり、米上院は19日に2018会計年度予算の大枠となる予算決議案を僅差で可決し、米税制改革に向けて一歩前進した。翌20日の米株市場でNYダウ平均をはじめとする主要3指数が揃って過去最高値を更新したのも同じ要因によるところで、足下の株高の流れに急ブレーキをかけないためにも、与党・共和党内での意思統一はもちろん、米上院全体として時代に見合った税制改革を実現することが期待される。

 結果、ドル/円は20日のNY時間に一時113.55円処まで上値を伸ばし、NY終値でも10月6日につけた直近高値を上回った。さらに、昨日(22日)の衆議院選挙で連立与党が圧勝となったことで、執筆時には一時114円台に乗せる場面もあった。
かくなるうえは、足下の勢いに乗じて次の上値の目安を5月10日高値や7月11日高値が位置する114円台半ばの水準としたいところではある。考えてみれば、昨年12月高値(=118.67円)から今年9月安値(=107.32円)までの下げに対する61.8%戻しというのが、まさに114円台半ばの水準であり、やはり当面の戻りの目安とするにふさわしい水準と言える。
 ただ、そのためにはドル/円の月足チャート上に描画できる31カ月線(現在は113.64円)をクリアに上抜けることがまずは必要となる。この31カ月線は長らくドル/円の上値を押さえる役割を果てしてきており、当然のことながら同線を上抜けることの意味は非常に大きい。よって、仮に同線を今後クリアに上抜ける展開となった場合には、前記の114円台半ばの水準はもとより、次に昨年12月から今年の年初に位置していた118円台半ばから後半の水準が意識されるようになってもおかしくないものと思われる。

 ただ、そう一筋縄では行かないと見ておかざるを得ないこともまた事実であろう。ことに今週は何かと要注意な週であり、場合によっては市場全体に漂うリスクオンのムードが一旦途絶える可能性もあると見られる。
 一つには、やはり北朝鮮リスクがあろう。周知のとおり、北朝鮮は「これ以上、中国を怒らせるわけには行かない」との思いから中国共産党大会の実施期間中はおとなしくしていると見る向きが多い。そんな大会も今週24日には閉幕となり、それでも26日までは米韓合同軍事演習が行われている。よって、25日、26日あたりが要注意日になると指摘する声も少なくはない。さらに、米大統領が11月初旬に訪日&アジア歴訪するタイミングも要警戒とされており、ことにトランプ氏が韓国を訪れる11月7日が気になる。
 また、すでに衆議院選挙の日程を通過し、とりあえずはその結果を好感する格好で日本株も一旦は強含み、リスクオンのムードが色濃くなるなかで暫しは円安方向になびきやすくなると見られるが、上げ一服後は利益確定の動きも生じることとなろう。

 なお、今週26日にはECB理事会の日程が控えており、これも相当に注目度が高い。既知のとおり、最大の焦点は来年1月以降に始まると見られるテーパリングの規模とペースであるが、結果的には市場の想定するレベルにまでは至らないのではないかと見る向きも少なくない。
 足下のユーロ/ドルは一目均衡表の日足「雲」下限や89日線が意識される水準まで下押してきており、これらの節目を下抜ける展開となった場合には、そこから一段の下値余地が拡がりやすくなるものと心得ておきたい。
(10月23日 09:10)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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