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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第606回 外部要因は不穏だがドルは比較的底堅い

2017年12月04日

 振り返れば、先週は週初27日に「北朝鮮による弾道ミサイル発射準備をうかがわせる電波信号を補足した」との報道があったことで市場にリスク回避的なムードが拡がり、ドル円は一時111円割れの水準まで下押すこととなった。
 翌28日のNY時間には、実際に北朝鮮による挑発行動が実施されたが、その段階ではすでに織り込み済みで、市場はほぼ無反応。むしろ、同じ日に米上院予算委員会で米税制改革法案が承認されたことから、米株価は大幅高(28日のNYダウ平均は前日終値比+255ドル)となり、連れてドル/円もじわじわと値を戻しはじめた。
 以降は、週末1日のNY時間入り後まで市場全体が基本的にリスク・オンのムードに包まれ続け、米・日株価も基調としては強気の展開が続いた。結果、前記のとおり27日のNY時間には一時111円割れの水準まで値を沈めたドル/円が、週末にかけては一時112.80円処まで上値を伸ばす場面もあった。米税制改革法案については、最終的に米上下両院において一本化のための擦り合わせを行う必要があるものの、今のところはクリスマス休暇前に法案が成立することを期待するムードに市場が支配されやすくなっているようだ。

 しかしながら、週末1日のNY時間には前米大統領補佐官(国家安全保障担当)のマイケル・フリン氏から飛び出した有罪証言のかかげで、市場が一時的にも“真っ黒な雲”に覆い尽くされ、ドルや米株価が一旦急落する場面があったことはやはり見逃せない。
 後にマコネル上院院内総務が「税制改革法案の可決に必要な共和党票を確保した」と発言したことが伝わって米株価やドルが値を戻す動きとなったことで、フリン騒動の直接的なインパクトが実際はどの程度のものだったのか、わかりにくくなったようにも思える。
 この日、ドルや米株価が一時的にも急落したのは、多分にイベント・ドリブン的な反応に基づく機械的な売買とその結果としての値動きが一時的に出た可能性もある。そうした点も含めて、この週明け以降じっくりと相場を見定め、検証して行かねばなるまい。
 もちろん、より重要なのは今回のフリン氏の訴求を受けて、今後、モラー特別検査官による「ロシアゲート」の捜査が大きく前進するということであり、ともすると米政権の政策運営に影響する可能性も大いにあるものと思われる。それは当然、ドルの弱気材料となり得るものであるが、必ずしもロシア疑惑捜査が一気呵成進むわけでもなく、時間の経過とともに市場の材料としては一旦棚上げとなる可能性もあろう。
 
 週明け4日は、オセアニア時間から執筆時までにかけてドル/円、クロス円がやや強含みの推移となっている。どうやら、米税制改革法案への期待から米債利回りも強含みでの推移となっている模様で、結果的にドル/円は再び21日線を上抜ける動きとなっている。
 目先は、まず113円台を回復できるかが焦点となるが、回復できれば次に一目均衡表の日足「雲」上限(現在は113.18円)が意識されやすくなると見られる。今のところ、113円を超えたところにはストップロスの買いオーダーが相当に控えているものと見られ、それらを巻き込んで行く展開となれば、113円台半ばあたりまでは比較的すんなりと値を戻す可能性もないではなかろう。
 ちなみに、先月(11月)のドル/円の月足・終値は結果的に31カ月線が位置する水準を上回ることができなかった。現在、31カ月線は113.04円に位置しており、当面は同水準も大いに意識されるところとなろう。10月の月足・終値こそ辛うじて31カ月線を上回ることとなったが、実質的にドル/円は年初(1月)以来ずっと31カ月線の抵抗を攻略できていないということになる。それだけに、仮にクリアなブレイクが見られた場合の印象は強いだろう。足下では、北朝鮮や露疑惑など複数の外部要因がドル/円の上値を押さえがちだが、今年も、また「年末ドル高」のアノマリーが取り沙汰される時期を迎え、当面のドル/円には十分に上値期待があるものと個人的には考える。
(12月04日 09:50)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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