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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第617回 ドル/円が一段の戻りを試す展開に期待

2018年03月12日

 先週のドル/円は、先々週に見られたやや行き過ぎた下げを一定程度取り戻す動きとなった。7日の朝方(東京時間)には「米国家経済会議(NEC)委員長のコーン氏が辞任」との報に市場が一旦売りで反応する場面もあったが、週を通して見れば105円台半ばあたりからスタートし、週末にかけては107円を試す上向きの展開であった。
一つには、米大統領が掲げていた輸入規制方針について、もともと「安全保障の重視」を口実として持ち出された“追加関税導入構想”であったことから、結局のところ同盟国には譲歩せざるを得ない状況となり、それが市場では好感された。
また、米国と北朝鮮が5月の首脳会談開催に前向きとなったこともリスクオンのムードに花を添える格好となった。近頃は市場で材料視される機会も減っていた北朝鮮問題であるが、潜在的には常に「そこにあるリスク」として常に意識されているわけで、そのリスクに対する警戒が少々和らぐことは微妙に円高の流れにも歯止めをかけやすい。
 そして、何といっても週末9日に発表された2月の米雇用統計の結果である。周知のとおり、雇用者数が大きく増加する一方で平均時給の伸びはやや押さえられ気味であり、少なくとも米株価にとっては“良い加減”の内容であった。失業率に一層の低下は見られなかったものの、一方で労働参加率が63%台に乗せてきた点は見逃せない。米労働市場の力強さという観点からすれば「また一歩前進」ということになるだろう。

 一方、テクニカル的な見地からすればドル/円は、今まさに一つの正念場を迎えている。というのも、先週9日の上げで一時的にも21日線を上抜ける動きを見せたものの、終値では上抜くことができず、なおも21日線(現在は106.77円)が上値抵抗として意識されているかのような印象が残っている。
 また、1月8日高値や2月2日高値などを直線で結ぶレジスタンスラインについても同様に、先週9日の値動きからは同ラインをクリアに上抜けたとの感触が得られていない。
前回更新分の本欄でも述べたように、なおも3月いっぱいは本邦機関投資家や事業会社などによる決算期末ならでは対応により、ドル/円や日本株の上値が押さえられがちとなる可能性もあるものと見ておく必要はある。
もちろん、本日(12日)以降に21日線やレジスタンスラインをクリアに上抜ける展開となってくれば、目の前の景色はだいぶ様変わりすると言っていいだろう。3月2日につけたドル/円の直近安値=105.25円が所謂「20週(安値)サイクル」の終点となった可能性があるという点も見逃せない。つなり、同安値が新しい20週サイクルの起点となることで当面は戻りを試す展開が続く可能性もあるということだ。
仮にそうであった場合、直近安値(=20週サイクルの終点)というのはドル/円が「43~45週ごとに目立った安値をつけるパターン」、ならびに「88週ごとに目立った安値をつけるパターン」の終点にもなったということになる。それら複数のサイクルが同時に一旦終点を迎えることはあってしかるべきであるのだが、ここは一つの重要な時間的節目として注視しておきたいところでもある。

 他方、ユーロ/ドルは2月下旬から3月初旬にかけてダブルトップのフォーメーション完成に至らず、一目均衡表の日足「雲」上限にサポートされるような格好で一旦反発することとなった。ただ、先週末にかけての値動きからは「そろそろ基調転換?」といった印象も受けなくはない。
それは先週8日に行われたECB理事会の声明とドラギ総裁会見の内容が一つのきっかけとなった可能性が高く、今足下で形成されているかに見られるトリプルトップのような動きは、文字通り「転換保ち合い」のフォーメーションを為している可能性もあるものと考えたうえで、当面の動きを見定めたい。
(03月12日 09:30)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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