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第634回 またもトランプ発言で急反落となったドルの下値を見定めたい…

2018年07月23日

 先週18日に一時113.18円まで上値を伸ばしたドル/円であったが、週の終わりにかけては111円台半ばの水準まで大きく値を沈めることとなった。
 周知のとおり、ドル急落の原因はトランプ米大統領が足下のドル高を嫌悪・けん制する姿勢を示したことと、5000億ドル相当に上る中国からの輸入品のほぼすべてに制裁関税を発動する用意があるとの発言をしたことであった。
 もちろん、市場にとって“トランプ発言”などというのは、あくまで一つの売買の口実に過ぎないわけであり、今回は水準的にもタイミング的にも一旦利益確定をしておきたいと考える向きによって発言が格好のドル売り材料に利用されたものと見られる。
 水準という意味では、やはり年初来高値=113.40円処が視野に入る水準まで一旦上値を伸ばしたことで、ひとまずは上げ渋る格好となってもおかしくないところであった。また、先週18日に日経平均株価が一時2万3000円近くまで上昇したことで、とりあえずの上げ一服感が拡がり、先週末にかけてやや調整含みの展開となって行ったことも影響していると言っていいだろう。
 タイミングという意味では、この月末に行われると見込まれている日米貿易協議(FFR)において、あからさまな円安批判が飛び出す可能性に対し、そろそろ警戒しておきたいというところがあろう。もちろん、米政権が月末に対中制裁関税の追加で発動するとの見通しに対する警戒もないではないのだろうが、もはや材料としては賞味期限切れか。

 トランプ氏は5000億ドルなどと吠えているようであるが、これまで手を付けることができなかった携帯電話やコンピュータ、そして低価格衣料にまで制裁関税を課すことなど本当にできるのか。さすがに、そこは中国との“交渉上のブラフ”としか思えない。
やれるものなら、やってみればいい。おそらく今後は米国内からの異論も相次ぐこととなり、結果的に一般的な米国民からの支持率にも悪影響が及べば、いずれ何事もなかったかのようにあっさり取り下げる可能性も大いにあると思われる。
また、中国の習近平国家主席がすっかり鳴りを潜めてしまったことに対する苛立ちもあるのではないだろうか。もともと、ただのビジネスマンのトランプ氏と絶対的な独裁者の習氏とでは役者があまりにも違う、違い過ぎると言ってしまえばそれまでのことである。

 とまれ、先週20日のNY時間入り後のドル売りが凄まじかったことは紛れもない事実であり、目先はドル/円がどのあたりで一旦下げ渋るのかを見定めたい。
 まず確認しておきたいのは、先週の終値が一目均衡表の週足「雲」上限付近で下げ渋る格好となったことであり、当座は週足「雲」(下限は111.02円処)が下値サポートとして機能するかどうかに注目しておきたい。
 また、足下で111円台前半の水準まで上昇してきている21日線が下値をサポートするかどうかということも一つの焦点となろう。21日線は7月初旬に米政権による対中制裁関税が発動されるか否かで市場が様子見姿勢を強めていたときにも、しっかりとドル/円を下支えした。111円前後の水準は5月下旬から7月初旬にかけてドル/円の上値を押さえた水準であり、一つの重要な節目でもあると見られる。
 一方で、ユーロ/ドルが依然として一目均衡表の日足「雲」下限に上値を押さえられ続けている点も大いに気になる。先週20日は、一時的に同水準を上抜ける場面も見られたが、結局のところ終値は同水準にとどまった。
 仮に、週明け以降にユーロ/ドルが日足「雲」のなかに潜り込む恰好となっても、次に62週線が上値追抵抗として意識される可能性は高い。5月下旬以降、ユーロ/ドルの週足ロウソクは62週線に上値を押さえられ続けてきているだけに、一つの重要な節目と見ておきたい。
(07月23日 09:10)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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