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第635回 日銀会合後はドル/円、クロス円に多少の上値余地?

2018年07月30日

 先週あった様々な出来事のなかで取り立てて重要と思われるのは、まず欧州連合(EU)のユンケル議長とトランプ米大統領が25日、広く工業製品の関税撤廃を目指す貿易交渉を開始することで合意したことである。
 同日公表された共同声明には「自動車を除く」と明記され、ひとまず自動車の追加関税は棚上げ。後にEU高官は「自動車も関税撤廃の対象に含まれる」との見通しを示している。もちろん、これはもともと想定内。どのみち、交渉は11月末ごろまで続くことになると見られ、しばらくは市場で材料視される可能性が低下すると見ていいだろう。
 それは、日本にとっても「ひと安心」といったところではある。“常に場当たり的”でしかないトランプ氏が相手である以上は確たることなど何も言えないが、すべて疑ってかかって警戒し過ぎることもここは控えたい。
 また、かねて「7月下旬にも」とされていた日米の新しい貿易協議(FFR)については暫し予定が先送りされることとなった。米通商代表部のライトハイザー代表は「今後1カ月以内」と説明しており、その間に進められる事前調整の行方も注意深く見守りたいが、ひとまず市場の警戒は多少なり緩むこととなろう。

 週末にかけて大いに市場の関心を集めた米4-6月期GDP(速報値)の発表(27日)も通過し、そこで印象に残ったのは数値・結果そのものよりもトランプ氏の勝ち誇ったようなしたり顔のみ…。気を取り直して、いよいよ今秋30日から行われる日銀金融政策決定会合の方に目を向けて行きたい。
 周知のとおり、日銀は7月20日に突然、月末の会合で「長引く緩和の副作用にどう配慮すべきかを検討する」との情報を発信(リーク)し、そのことが様々な憶測を呼ぶこととなった。筆者を含めて市場には「結局のところ、大した事柄は何も出て来ない」と見る向きが多い。もちろん、上場投資信託(ETF)の購入方法を修正するといった程度の変更事項はあるだろうが、イールドカーブ・コントロール(YCC)政策の修正の可能性にまで踏み込むことにはかなり慎重であろう。金融政策の「柔軟化」というワードを追用いる場合には、それが「引き締め」とは一線を画すものであるということを頑なに主張するだろう。よって、結局のところ大勢に影響を及ぼすような決定が下されることはないと見る。
 そこで、一つ考えておきたいのは「果たして、今回の“日銀リーク”はどの方向に向いて行われたものだったのか」ということである。配慮したいのは、国内金融機関、首相官邸、そして米政権と様々であろう。なかでも、米トランプ政権に対して「今、日本の政府・当局はどのような姿勢で臨んでいるかを示したい、理解してもらいたい」という思いが最も強かったのではないかと、実のところ筆者は個人的に考えている。
 ロイターも一部の見解として伝えていたが、その後のトランプ氏は「中国や欧州が為替操作を行っている」と名指しで強く批判しながらも、日本のことについては言及していない。単に「忘れていた」か、あるいは「あまり関心がない」のかもしれないが…。

 いずれにしても、7月の日銀会合が、いわゆる「大山鳴動して鼠一匹」という結果になれば、あらためてドル/円、クロス円は買い直されやすくなると思われる。その場合、注目しておきたいのは、やはり一つに「ドル/円の7月の月足・終値が31カ月移動平均線(31カ月線)や月足『雲』上限を上抜けるかどうか」という点であろう。         
 7月の月足は月足「雲」の上方まで長めの上ヒゲを伸ばしたような格好となっているものの、31カ月線は下回っていない。これまで本欄で幾度も触れてきたが、過去においてドル/円の31カ月線は実に重要な役割を数多く果たしてきている。仮に、7月の月足・終値で同線をクリアに上抜ければ、それは「2017年1月以降の調整が終了したと判断する材料の一つになる」と考えていいだろう。
(07月30日 09:10)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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