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第636回 日銀の出口は遠く…ドル一強の傾向強まる

2018年08月06日

 私事ながら、7月下旬からマーケット・経済情報専門チャンネルである日経CNBCのコメンテータに久しぶりに復帰しており、7月31日の黒田日銀総裁会見中継もたまたま生放送中のスタジオ内で視聴することとなった。
それに相前後して複数の市場関係者の方々から今回(7月)の日銀会合の結果や総裁会見の内容について率直な感想や意見などを伺って回ったわけだが、そのなかで筆者があらためて再認識させられたのは「海外勢のなかには『日銀が出口戦略に舵を切るのでは』との思惑を膨らませる向きが少なからずある」ということだった。
そこに引っ掛かりを感じたのは筆者だけであろうか。国内の市場関係者・参加者の大半は日銀の政策について「出口など遥か遠い」と考えているものと思われる。一方、多くの海外勢はさすがに日本が抱える構造的問題の深刻さにまで細かく目を向けることは難しいのであろう。まして、足下では米・英が追加利上げに踏み切り、ユーロ圏も緩やかながら出口方面へ向かおうとしているわけであるから、海外勢の一部に「次は日本も」と考える向きがあってもおかしくはない。
重要なことは、そうした現実(日銀の動きを警戒して円を買い直そうとする動きが見られることもあるという点など)を踏まえたうえで市場と向き合って行かねばならないということである。今回、日銀が初のフォワードガイダンスの導入に踏み切ったのも、やはり海外勢に対して正しい認識を促したいとの思いが強かったからからであろう。一方で、国内の銀行勢などに対して配慮する姿勢を同時に示したことも考えれば、極めて手詰まり感が強いなかで日銀は足下の実情を踏まえた十分な仕事をしたといっていいだろう。

 いずれにせよ、今回の日銀会合の結果のなかで市場に最も響いているのはフォワードガイダンスが示した緩和継続の姿勢であり、結果的に目下のドル/円は比較的底堅く推移している。ドル高・ユーロ安でユーロ/円が弱含みの推移となっており、その点がドル/円の上値の重しになってもいるが、基本的に対ユーロ&円でドル高というのは間違いない。
 おわかりのように、米中貿易戦争は一層泥沼化してきており、以前であればこうした国際的な世情の悪化は「リスク回避の円買い」であったが、昨今は「むしろドル買い」で反応する動きが市場で見られるようになっている。むろん、米国一強を掲げる米政府が保護主義の姿勢を強めると、米国よりも他の国や地域に対してより重いダメージとなることは否定のしようがないわけで、その意味ではドル一強となることにも何ら矛盾はない。

なお、前回更新分の本欄では「(日銀会合が)『大山鳴動して鼠一匹』という結果になれば、あらためてドル/円、クロス円は買い直されやすくなる」、「その場合、注目しておきたいのは、一つにドル/円の7月の月足・終値が31カ月移動平均線(31カ月線)や一目均衡表の月足「雲」上限を上抜けるかどうかという点」などと述べた。
 その点を確認しておくと、まず7月のドル/円の月足・終値は6月に引き続いて連続で31カ月線を上抜ける格好となった。最終的に月足「雲」を上抜けて7月を終えることはできなかったが、この8月以降に月足「雲」を上抜けるとの期待は大いにある。もはや2015年6月高値から形成されていた三角保ち合い(トライアングル)を上放れつつあるとの感触は強まっており、さしあたっては7月19日高値=113.18円を上抜けるかどうかが一つの焦点となろう。
ちなみに、8月1日高値の112.16円は7月19日高値から26日安値までの下げに対する61.8%戻しの水準にあたり、そこで一旦戻りが押さえられたのは致し方ないことでもあった。つまり、当面のドル/円の上値の目安としては、まず112.16円があって次に113.18円、そして同水準を上抜けた場合には115手前あたりの水準を試す展開になると見る。
(08月06日 09:20)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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