新春早々から、中東情勢の緊迫感が一気に高まり、国際金融市場にも先行きを警戒するムードが拡がっている。ようやく米中対立が一段落したかと思えば、今度は中東情勢の泥沼化懸念である。「米大統領選の年は厄介だ」としか言いようがない。
米株価は年明け2日に大幅高となったものの、後に米軍によるイラク空爆(イランのソレイマニ司令官暗殺)の報を受け、翌3日には相次ぐ利益確定売りを伴って大きく下げる展開となった。結果、先週3日のCME日経225も急落しており、市場全体のムードは移転してリスクオフ一色になった。
一方で、ドルと円にはリスク回避目的の買いが入りやすい状況となっている。ただ、3日に米国で発表された12月のISM製造業景況指数が47.2と、予想外に低下して2009年月以来の低水準に留まったこともあり、ドル/円については重要な節目と見られる108円を幾度か下回る場面が散見されている。
とはいえ、ドル/円が108円を割り込んだ水準には一定の買いが控えている模様であることも事実。テクニカル的には一目均衡表の日足「雲」下限の位置する処が下値サポートとして機能するかどうかに注目しておきたい。
一方、ユーロ/円については日足「雲」上限の位置するところが下値サポートとして機能するかどうかが一つの焦点。振り返れば、ユーロ/円と日足「雲」との位置関係というのは要所、要所で非常に意味のあるシグナルを発してきた。
もちろん、イランが何らかの報復行動を起こすのは避けられないことと思われるが、よもや「本格的かつ破滅的な戦争の口火を切るに至ることはないであろう」と高を括る向きも市場には少なくない模様ではある。トランプ米大統領が戦争を望んでいないことは誰もが百も承知の事実であり、今回の攻撃も選挙目当てであることは見え見え。ただ、偶発的な出来事に発展してしまうリスクは付き物であり、その点は一応心得たうえで今しばらく事態を見守ることが重要となろう。
むろん、一時的な緊張が比較的短時間のうちに緩和される状況となれば、あらためてドル/円、クロス円も一定の戻りを試すこととなるはずである。そうなった場合、ドル/円は少なくとも日足「雲」上限から週足「雲」下限のあたりに該当する108.85-109.15円処まで、まずは戻りを試すものと見ておきたい。
ちなみに、前回更新分の本欄で触れた月足「雲」の『ねじれ』が生じ始めるのは今月からである。もちろん、直ちに新たなトレンドが発生するというわけでは必ずしもなく、それはジワジワと時間をかけながら形づくられて行くものとなろう。場合により、いよいよドル円が保ち合い状態から脱する可能性もあると考え、大いに注目しておきたい。
なお、ユーロ/円については、やはり節目の21日移動平均線(21日線)が位置する水準(121.29円)あたりが目先の上値の目安ということになるだろう。ただ、ユーロ/ドルの上値余地がある程度限られるとの見方は変わらず、その意味からすればユーロ/円の戻りも自ずと限られたものに留まらざるを得まい。
肝心のユーロ/ドルは、依然として21日線のサポートが強く利いているように見られるものの、目先的なショートポジションの調整はすでに一巡したものと思われる。実際、ユーロ/ドルを買い戻す動きは12月31日のNY時間がピークで、その後は静かにフェードアウトした。
それは、ポンド/ドルも同様で週明け以降に21日線をクリアに下抜ける展開となったならば、あらためて1.3000ドルの節目を試す展開になると見る。仮に、あらためて1.3000ドルを下抜ける動きとなってくれば、昨年12月下旬に見られたように一旦は週足「雲」上限が位置するところを試すものと思われる。個人的には、戻り売りのチャンスをうかがう算段で臨みたいと考える。
(01月06日 08:50)