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第716回 7月は一つのターニングポイント!?

2020年06月29日

 先週は、米株式市場においてNYダウ平均が前日終値比で700ドル超の下げとなる日が2日もあった。既知のとおり、下げの要因は新型コロナウイルス感染拡大の第2波に対する警戒が市場で一層強まってきていること。とくに米フロリダ州、テキサス州、アリゾナ州における新たな感染者数の増加ぶりは目に余る。
 振り返ると、先週の22日、23日あたりまでの米株式市場では、経済活動の再開に伴う景気回復への期待感を優先させて株価が一段の上値を追うといった展開が続いていた。結果、ナスダック総合指数が一時的にも10200ポイント台に乗せるなどして、やや行き過ぎ感が強まっていたことも事実である。そろそろ一旦は調整が入ってもおかしくないと思われていたところに、一部の州における新たなウイルス感染者急増の実態が浮き彫りになったわけであるから、米株式に利益確定の売りが殺到するのも道理ではある。
よって、ここは先週の米株価下落が一時的な調整に留まるものなのか、それとも中期的な下落トレンドに入ったのかを見定めることが何より重要であろう。
このところの外国為替相場は基本的に株価睨みの展開となっている。ただ、それは米株価が大きく下げるとドルも下げるなどといった単純な構図ではなく、むしろ株安時はリスク回避のドル買いが優勢になることが多い。その一方で、市場のムードがリスクオフに傾くと、ドル買いと同時に円買いの圧力も強まるので、結局のところドル/円は動きにくい。ドル/円が動かないと、豪ドル/円などのクロス円も動きにくく、結果的に相関の強い日経平均株価は上値も重いが下値も限られるといった状況にある。

 もちろん、目の前の様々な懸念や警戒が時間の経過とともに解消へと向かう可能性も十分にある。このところトランプ米大統領の再選確率は大幅に低下しており、今後は選挙当日が近づくにつれ、市場の関心が民主党候補のバイデン前副大統領に一気に傾く可能性も大いにある。バイデン氏は副大統領候補に女性を立てるとしており、目下の市場ではカマラ・ハリス上院議員が最有力とされる。ウォール街との関係も決して悪くないハリス氏が候補に決まれば、市場の安心感は増す可能性が高い。なお、バイデン氏は7月中旬に副大統領候補を発表すると見られている。
 もちろん、米政権が足下で検討している対欧州連合(EU)関税の強化についても、最終的に発動が見送られる、あるいは制限される可能性は十分に残されている。米中対立の過去の経緯からも分かるように、貿易交渉は「圧力」と「譲歩」がセットなのだ。
 また、7月に入ると世界的な新型コロナウイルスワクチンの開発段階が一歩前進する可能性も大いにある。とくに注目度が高い米モデルナ社のワクチンについては最終治験が7月から始まると伝わっている。また、日本国内でもアンジェスが大阪大学と共同開発するワクチンの治験が7月から開始される見通しとなっている。

 つまり、7月は一つのターニングポイントとなる可能性がある。あらためて市場のリスク選好ムードが復活し、なおも膨張を続ける世界の過剰流動性が各国・地域の株価を一段と高い水準に持ち上げる可能性も大いにある。結果、日経平均株価が一段の上値を追うこととなれば、正の相関が強い豪ドル/円の上値余地も拡がりやすくなろう。
また、米政権による対EUならびに対中姿勢が多少なりとも緩めば、ユーロ/円にも上値余地が生じやすくなり、クロス円全般の上昇に連れてドル/円が目下の膠着状態から脱する可能性も高まる。7月の中旬以降はドル/円が本格的に動き出す可能性もあり、仮に強気の展開となれば、まずは200日移動平均線を試す動きとなろう。
なお、目先は豪ドル/円が一目均衡表(日足)の基準線を下抜けるかどうかに要注目。同線をクリアに下抜けると、日経平均株価も基準線を下抜ける可能性が高まり、結果的にドル/円も一旦下値を試す展開となりやすい。その場合、一つの目安はやはり106.00円処ということになろう。
(06月29日 09:15)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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