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第724回 FRBの政策方針を受け、なおもリスクオンの展開は続く…

2020年08月31日

 先週27日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は毎年恒例のジャクソンホール会議で講演し、今後の新たな金融政策の枠組みについて「平均で2%」のインフレ目標に言及したうえで、景気低迷期にあってはインフレ率が一時的に2%を超えても暫く容認する方針を明らかにした。つまり、これまでの想定以上にFRBは低金利状態を長期化させる意向であるということであり、その内容が伝わった後の米株相場は、当然のことながら総じて強含みで推移することとなった。
 もっとも、そのような方針が示されることは大方事前に予想されていたことで、それまでに相場がかなりの部分を織り込んでいたことも事実である。すなわち、その時点で一旦は「材料出尽くし」ということになるわけで、実際に同日の米債市場は「セル・ザ・ファクト(事実で売り)」の反応を露わにした。結果、米10年債利回りは一旦0.75%台まで一気に跳ね上がることとなり、一旦はドルが全体に買い戻される展開となった。
 とはいえ、相場変動要因の本尊は「FRBの低金利政策がより長期化する可能性」にあるわけであるから、手放しでドル買いの流れに乗るわけにも行かない。低金利政策の長期化観測によって米株価が強含みで推移しているからと言って、必ずしもドル買いが正解とは言えないところが投資家にとっては悩ましいところではある。

 とはいえ、週末28日の午後2時過ぎにNHKが安倍首相の辞任意向を伝えるまで、クロス円全般が強含みで推移していたこともまた事実。ドル/円は一時106.95円まで上値を試し、明らかにリスクオンのムードが市場全体に広がっていた。
 首相辞任の意向が伝ってからは、直ちに日経平均株価が一時的にも急落し、それに伴ってドル/円、クロス円も軒並み大幅な下げに見舞われた。むろん、それはアルゴリズム取引の為せる業と見られる部分が大きいわけであるが、さすがに一国のトップによる突然の辞任表明に市場が大きく動揺するというのも無理からぬことではある。一時的に市場のボラティリティーが上昇するのも当然のことであり、ここは少し落ち着いて今後の行方を静観したい。

 首相の辞任表明と記者会見を経て、少し時間が経過した今、大方の市場関係者は「今後の経済・金融政策方針に大きな変更はない」との見方で一致している。次期首相が前政権の政策方針を踏襲することは間違いなく、日銀の黒田総裁も2023年まで任期を残している。コロナ禍に対しては既に政策総動員で臨んできており、過度な政策期待が燻っているわけではないことから無用な失望も生じ得ない。
 目先は、週明けの東京株式市場が一定の落ち着きを取り戻すかどうかに注目し、同時に株価の動向に為替相場がどう反応するかをじっくりと見定めたい。やはり、クロス円は全般に一旦下げ渋り、ある程度の戻りを試す公算が大きいと見ていいのではないか。
 ドル/円は一旦105円レベルを覗くところまで下押したが、今のところはさらに円買いを進める材料が特段あるわけでもない。次期首相の指名においても、さほどのサプライズはないものと考えられ、とりあえずは105-107円処のレンジ内での値動きが今しばらく続くと見られる。
 結果的に対円でドルが売られる格好となったことで、先週末にかけてユーロ/ドルも強含みの展開となったが、1.2000ドル処から更にユーロ買い・ドル売りを進めるための確たる材料があるわけでもない。
 注目しておきたいのは、一つにユーロ/ドルが2008年7月高値や2014年5月高値を結ぶ長期レジスタンスラインをクリアに上抜けるような展開となるかどうか。また、月足ロウソクが一目均衡表の月足「雲」を上抜けるかどうかという点も当面のポイントとなろう。当面は、1.8400ドル処を軸とした1.1740-1.1940ドルのレンジ内での動きが続くものと個人的には考える。
(08月31日 08:50)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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