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第743回 当面はワクチン拡大のスピードがモノを言う!

2021年02月01日

 先週末にかけて、米・日の主要な株式指数が比較的大幅な下げを演じ、市場のリスク回避ムードは急速に強まっている。
 既知のとおり、一つのきっかけとなったのは米株市場における一部中小型株の異常な乱高下。この波乱に巻き込まれたヘッジファンドは損失穴埋め目的の換金売りを出さざるを得なくなり、それが主力株の大幅な下げにもつながるという悪循環が市場心理を凍りつかせている。むろん、今回の波乱が相場の長期的なトレンド自体を変えるものではないだろう。ただ、事態が収束するまでには暫しの時間を要するものと心得ておかねばなるまい
 その余波も手伝ってか、29日の東京市場では前日(28日)に今期通期の業績予想を大幅に上方修正した東京エレクトロンをはじめとする主要な半導体関連株などが大幅な下げを演じ、日本株全体の一時調整ムードも色濃くなり始めている。
 とはいえ、もともと市場には「2月警戒論」が根強くあったし、全体に目先の高値警戒感が高まり続けていたことも否定できない。足下で主力企業の決算発表が相次ぐなか、その結果をあらためて見定めたいとする向きも少なくないものと思われる。

 そんななか、先週末にかけてドル/円は3日続伸し、29日には一時104.94円まで上値を試す場面もあった。結果、一目均衡表の日足「雲」上限と89日移動平均線(89日線)を順に上抜け、目先は105円台に乗せるかどうかが一つの焦点となってきている。
 思えば、日足ロウソクが終値で日足「雲」よりも上方に位置するようになるのは昨年6月半ば以来のことで、場合によっては昨年3月高値=111.71円からの下落基調が今年1月安値=102.59円をもって終了したとの感触が今後強まっていくかもしれない。
 今後、仮に105円台乗せを実現した場合には、次に昨年11月高値=105.68円が意識されやすくなると見られるが、同水準を目指すとするならば、その過程で200日移動平均線(200日線)を上抜けることとなる点も見逃せない。
 米・日株価の調整下落に伴ってリスク回避のドル買いが進んでいることもあるのだろうが、より根本的なところでは米・日間における景気回復見通しの顕著な違いが相場に反映されやすいと見ておく必要があるのではないか。
 やはり、これからは各国・地域におけるワクチン拡大のスピードが何よりモノを言うようになる。ワクチン拡大のスピードは景気回復のスピードに直結するし、それが外国為替相場にも当然のことながら大きく影響する。
 その点、米国ではバイデン大統領が「春までに希望者全員のワクチン接種が可能になる」との見通しを明らかにしているのに対して、日本政府の対応は正直、甚だ残念であるとしか言いようがない。英データ会社の予測によると、日本が集団免疫を獲得するのは10月頃になるという。むろん、その差は取り返しがつかないほど大きい。

 同様のことは、目下の欧州におけるワクチン拡大の実情にも言える。やはり、米国に比べれば欧州におけるワクチン供給の遅れは著しいとされる。
 今後、域内各都市の封鎖措置が一段と延長される可能性があるとの指摘もあり、仮にそうなれば、ECBはパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を再度延長する必要に迫られる可能性があるという。こうした事態がよほど早急に改善されない限り、当面はユーロの上値を積極的に追うことも憚られる。
 目下のユーロ/ドルは、上値抵抗として意識される21日線と下値支持として機能している日足「雲」上限との間でもみ合っており、今後も21日線を上抜けることができないと日足「雲」のなかに潜り込んで、一層上値が重くなるものと見られる。
 ひとたび日足「雲」のなかに潜り込めば、1月18日安値の1.2053ドルから節目の1.2000ドルを試す展開になると見る。             
(02月01日 08:40)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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