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第751回 ドル/円は長期レジスタンスライン上抜けへ…

2021年03月29日

 先週末26日のドル/円は、一時109.85円まで上値を伸ばす場面があり、最終的には109.67円処で週の終わりを迎えた。結果、先週の週足ロウソクは、ついに2015年6月高値(=125.85円)と2020年2月高値(=112.22円)を結ぶ「長期レジスタンスライン」を上抜けることとなった。
 前回更新分の本欄でも述べた通り、同ラインは2015年の年央から長らく形成されている大型トライアングル(三角保ち合い)の上辺ということにもなるわけで、これをクリアに上抜けるとそこから一気に上値余地が拡がりやすくなると見られる。
 この節目をクリアに上抜ける展開となれば、もはや昨年6月高値=109.85円や心理的節目の110円処ですら「一つの通過点」ということになり、中期的には昨年3月24日につけたコロナ・ショック後の高値=111.71円が視野に入ってくる可能性もあると見る。
 ちなみに、ドル/円の日足チャート上では3月に入ってから200日移動平均線(200日線)がジワリ上向きに転じてきているうえ、そんな同線を89日移動平均線(89日線)が下から上に突き抜ける「ゴールデンクロス」も近く示現しそうである。そうなれば、ますますドル強気の流れが加速しやすくなることであろう。

 足下でドル強気の流れが強まっている背景には、一つに米国でワクチン接種のスピードが一段と加速すると期待されていることがある。既知のとおり、バイデン米大統領は就任100日後までの接種目標を1億回から2億回に倍化させると表明。これにより「5月1日までにワクチン接種対象全成人にまで拡大する」との目標達成が現実のものとなれば、米景気の回復期待は一段と盛り上がるに違いない。
 加えて、バイデン政権が検討しているとされてきた3兆ドル規模のインフラ投資を軸とする経済対策が今週にも公表されるとも伝わっており、そのことが先週末にかけての米株高もつながったことで、なお一層ドルへの投資妙味を強めている。先週末のNYダウ平均は終値ベースでの史上最高値を7日ぶりに更新。それは、先週を通じて米国債利回りが比較的落ち着いた動きとなったこととも大きく関わると見られる。
 もちろん、大きな流れとしての米長期金利の上昇傾向には変わりがなく、当面は段階的に上昇余地を試す時間帯のなかで、市場が金利上昇に“慣れて”行くことが重要と思われる。空前絶後と言っていいほど強力な米政府・当局による財政と金融の政策支援が途切れなく実施されていくなかで、金利上昇イコール株価下落&リスクオフなどという方程式は通用しないと考える必要があるだろう。
 その一方で、日銀は「債券利回りの上昇に対してかなり厳しい目を光らせるものの、利回りの低下については一定程度まで許容する」といった姿勢を取っており、当面は日米の金利差も拡大しやすい。つまり、今後も円売りとドル買いが進みやすい状況に変わりはないものと見られる。

 むろん、米・日間におけるワクチン接種スピードのあからさまな違いというのも一段の円売り・ドル買いの動機としては大きい。同じことは米・欧間の違いについても言えることで、既知のとおり独・仏・イタリアなどの主要国がロックダウン(都市封鎖)を一段と強化しているユーロ圏の景気の先行きには、いまだ靄(もや)がかかったままである。変異ウイルスが猛威を振るうドイツは「極めて深刻な状況」と伝わり、その材料だけでも対ユーロでのドル買いが進みやすい。
 ユーロ/ドルは、先週24日に200日線を下抜け、翌25日には1.1800ドルの節目をも下抜ける動きとなった。欧州における変異ウイルスの拡大状況を考えれば、まだしぶとく持ち堪えている方であると個人的には考える。場合によっては、1.1600ドル台前半の水準まで一気に下値を試しに行くような展開となる可能性もあると思われ、そのリスクには大いに警戒しておきたい。
(03月29日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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