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第775回 ドル高一辺倒の流れは一旦お休み!?

2021年10月04日

 先々週の週末あたりから強まったドル強気の流れは、先週30日にドル/円を一時102.08円まで押し上げることにつながった。前回更新分の本欄で述べたとおり、中国恒大集団の資金繰りに対する懸念がひとまず一服し、あらためて前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けた米国債利回りの上昇傾向が強まったためである。

 米10年債利回りは29日に一時1.56%まで上昇し、FOMC通過後の急ピッチな上昇に市場は素直にドル買いで反応したが、それは少々過剰反応気味であったとも言える。
 そもそも、米国債の市場価格というのは意外なほど値動きが大きいと再認させられることが多い。前倒しで材料を徐々に織り込むことなく、突然、一方向へと一気に走りはじめて結果的には「かなり行き過ぎる」ということも少なくない。
 思えば、今年3月に米10年債利回りが一時1.7%台後半の水準まで一気に上り詰めたときもかなり行き過ぎと感じられた。「その証拠に」と言おうか、8月には1.12%台まで急低下する場面があり、これも下げ過ぎであることは明らかだった。
 米景気が趨勢的に向かっている方向は変わっていないのにも拘わらず、米10年債利回は1.7%台後半から1.1%台前半まで大幅に低下したりするのである。そうした米国債利回りの動きについては、ある程度「そういうもの」と割り切って捉えておくことが必要なのだろう。
 同時に「行き過ぎると必ずアンワインドの動きが強く出る」ということも再認識しておかねばならない。そして案の定、先週末にかけてドル買いの動きにはアンワインディングが生じた。ドル/円は一時的にも111円を割り込み、ユーロ/ドルは一時1.16ドル台を回復する動きとなったのである。
 むろん、月替わりで「それまでの月末期末に向けたドル買いフローが一服した」という側面もあったと見られる。また、ユーロ/ドルに関してはテクニカルに下げ渋ったという側面もある。先週のユーロ/ドルの安値=1.1563ドルは一目均衡表(週足)の「雲」下限付近まで到達する下げの脚気であったし、9月の月足は月足「雲」上限が下値を支える格好となった。

 いましばらくアンワインドの動きが継続するならば、目先的にユーロ/ドルは日足の転換線(現在は1.1660ドル)あたりまでの戻りを試す可能性があると見る。ちなみに、日
足の転換線は9月8日以降ずっとユーロ/ドルの上値抵抗として機能している。
 もともと、米連邦準備理事会(FRB)や英中央銀行(BOE)と欧州中央銀行(ECB)の金融政策の方向性から感じられる“温度差”がユーロの上値を押さえ続けており、その点は基本的に今後も変わらないものと見られる。ただ、今週は9月の米雇用統計の発表が控えていることから様子見ムードが広がりやすいうえ、仮に雇用統計の結果が冴えないものとなれば一時的にもユーロ/ドルが上値を試す可能性もないではない。その場合、個人的には戻り売りのチャンスをうかがう算段で臨みたいと考える。

 一方、ドル/円については先週末に一時110.91円まで下押したところで下げ渋る展開となっており、これは9月22日安値=109.12円から直近高値までの上げに対する38.2%押しの水準が下値をサポートした格好である。
 実のところ、先週はクロス円が頭打ちから反落の動きを見せていたことから、ドル/円の上昇は「ドル買い主導であった」ことがわかっている。よって、米雇用統計を控えた様子見の状況下でドル買いの動きが足踏みするなら、週末までドル/円の上値は重くなる可能性が高い。そこでもう一段の調整があるとすれば、ひとまず110円台半ばあたりの水準が下値の目安になるとみられ、そこには前記の50%押しや日足の基準線などが節目として控えていることも確認しておきたい。
(10月04日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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