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第800回 いつごろから日銀は政策方針の見直しを匂わせるのか…

2022年04月18日

 前回は「ユーロの一段の下値リスクに要警戒」と題し、ユーロ/ドルが2017年1月安値と2020年3月安値を結ぶ下値サポートラインを明確に下抜けると「コロナ・ショック時の1.0636ドルを試しに行く可能性もある」と述べた。いまのところ、まだこのサポートラインを明確に下抜けたとは言い切れないが、14日に一時1.0757ドルまで下押した場面には、その兆候が見え隠れしていた。
 目下のユーロ/ドルの値動きに、FRBや英中銀とECBとの金融政策の方向性の違いが強く反映されていることは間違いない。14日に定例理事会を開催したECBは、国債などの資産の新規買い入れ終了時期について「7-9月期に終える見通しが強まった」と声明文に明記。市場にはECBが金融政策の正常化を前倒しで進めるとの見方もあったことから、一旦はユーロ売りの反応が見られることとなった。
 ただ、後にECB関係者の話として「7月利上げの可能性は残っている」との報が伝わったこともあり、とりあえずユーロ/ドルは下げ渋る動きを見せている。

 もちろん、米国景気がなおも強い基調を維持し、同時にインフレ傾向が一層強まっていることで、依然ドル買いの流れが継続していることも見逃せない。
 先週12日に発表された3月の米消費者物価指数(CPI)の発表後には、コア指数の伸びが鈍ったことから「インフレのピークアウトへの期待が高まった」とのムードが拡がる場面もあったものの、その後に発表された複数の米経済指標の結果があらためてインフレ警戒を強めるものであったことも事実である。
 たとえば、13日に発表された3月の米生産者物価指数は前年比11.2%上昇と、市場の事前予想を大きく上回り、その伸び率は統計で遡れる2010年以降で最大となった。
 加えて、14日に発表された4月のミシガン大学消費者信頼感指数も事前予想を大幅に上回り、15日に発表された4月のNY連銀製造業景況指数も事前予想の1.0に対して24.6と、急激な回復ぶりを明らかにする結果であった。新規受注は今年の最高水準に達し、入荷遅延の指数も低下している。
 
 当然、ドル/円も一段の上値をうかがう動きとなっており、週末15日には一時126.68円処まで上昇。13日の東京時間に伝わった黒田日銀総裁発言により2015年6月高値=125.85円をいともあっさりと上抜けたところから、ドル/円の上値余地は一層拡がってしまっていると言わざるを得ない。奇しくも、この日の総裁発言は「黒田シーリング」を自ら突き破ることに貢献することとなってしまったわけである。
 15日には、鈴木財務相による「悪い円安」発言があり、市場には「一層の円安進行となれば、政府が円買い介入に踏み切る」との観測が燻っていると伝わるが、そのハードルはかなり高い。いや、おそらくあり得ない。結局のところ、すべては日銀総裁の今後の出方にかかっているということになるものと思われる。
 押さえておきたいのは、国内の消費者物価指数(CPI)が携帯電話料金値下げの影響剥落によって4月分から一気に跳ね上がることと、その結果が発表されるのは5月20日であるということ。そして、それ以降に日銀金融政策決定会合が行われるのは6月16-17日であるということも重要である。果たして、黒田総裁はどの時点から政策方針の見直しを匂わせ始めるのか。そのタイミング次第ではあるが、どこかで一旦大きく円高へと振れる可能性があることは念頭に置いておく必要があると思われる。

 今週のユーロ/ドルについては、やはり前記のサポートライン(先週末の終値水準に位置)をクリアに下抜けるかどうかに要注目。下抜ければ、やはりコロナ・ショック時の1.0636ドルが意識される。一方、ドル/円については126.50円処を軸とする125-128円のレンジ内での動きを一応想定しておく。

(04月18日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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