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第801回 FRBの過度にタカ派寄りの姿勢は少し割り引いて…

2022年04月25日

 先週末の米株市場で、NYダウ平均が一時1000ドル超下落(前日終値比)する場面があり、市場全体のムードはリスクオフに傾いた。結果、米国債利回りの上昇が抑制される一方で、ドルはリスク回避の買いを集める格好となった模様だ。
米株の大幅下落については、同日の取引開始前に発表された幾つかの企業決算の結果が「たまたま不調だった」ことに因るところが大きいと見られる。それ以前に発表されている米主要企業の決算は概ね好調で、市場からは「予想が悲観に傾き過ぎていた」、「懸念されていたほど利益は圧迫されていない」などといった声も聞かれる。今後、好決算の発表が続くようであれば、いずれ株価指数が大きくリバウンドする(リスク回避ムードの後退でドルが一旦売り戻される)可能性もあろう。一応、念頭に置いておきたい。

 いずれもしても、目下の市場が米連邦準備理事会(FRB)の積極引き締めに対する警戒を一段と強めていることは間違いない。
 次回5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)において0.50%ポイントの利上げ実施が決議される可能性については、これまでに市場がだいぶ織り込んできている。ところが、ここにきて「6月、7月も大幅利上げ」、「場合によっては0.75%ポイント」などといった声も聞かれるようになっており、市場としては「一応、警戒を強めておいた方が良さそうだ」ということになるのだろう。
 いまFRBは、高まり続けるインフレの状況を前にして「かかる事態に敢然と立ち向かう姿勢を国民に何度でもアピールする」ということを第一義としているのであろう。
 また、FOMC前のブラックアウト期間に突入する前に、市場との「対話」を怠りなくしておこうということでもあると見られ、このところのFOMCメンバーらによるタカ派寄りの発言については少し割り引いて捉えておくことも必要であると思われる。

 むろん、円やユーロ、ポンドなどドル以外の主要国通貨が、依然としてその上値を追いづらい状況にあることも否定できない。結果、ドルの独り勝ちとなりやすい。
 円については言うに及ばず、黒田日銀総裁が積極的な金融緩和姿勢を継続する姿勢を堅持している以上、基本は円安の流れと捉えるしかない。まして、足元では米国の実質金利が日本のそれを上回り、いよいよプラスの領域に浮上しようとしているのである。
 前回更新分の本欄でも述べたように、問題は「黒田日銀がいつごろから政策方針の見直しを匂わせ始めるのか」という点に尽きると思われる。「円買い介入」の話題も出てきてはいるが、正味のところ、その可能性を云々すること自体が虚しい。むろん、すでに市場でも日銀が政策を修正するかに注目が集まっているとされる。
 普通に考えれば、今後も長期金利が0.25%に接近するたびに指値オペを発動し続けるというのはあまりにも無理がある。やはり、近い将来において長期金利の許容範囲の上限を(たとえば0.5%などに)引き上げる必要に迫られるものと見ておかねばなるまい。
 もちろん、日銀が具体的な動きを見せるまでには、いま暫くの時間を要するはずであり、それまでの間にドル/円が130-135円処を試しに行く可能性は排除できない。

 今週の日銀会合は基本的に無風で通過すると思われるが、場合により市場があらためて円売りで反応する可能性もあろう。その場合、ドル/円は一旦129.50円処を試す可能性もあると見る。一方、下値の目安は127.50円処としておきたい。
 ユーロ/ドルについては、1.0800ドル処をクリアに下抜けるかどうかが目先の焦点であり、下抜けるとやはりコロナ・ショック時の1.0636ドルが意識される。
 先週末発表された英指標の結果を受けてポンド/ドルが急落したことも見逃せない。ユーロ/ポンドは強含みで推移する可能性があるものの、総じて欧州通貨を取り巻くムードは重苦しい。やはり、ドル優勢の状況に変わりはない。

(04月25日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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