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第809回 米・日株価が一定の戻りを試すか否かがカギ

2022年06月20日

 先週は、その前の週末(10日)に発表された5月の米消費者物価指数(CPI)のサプライズをなおも引きずり続ける日々が続いた。
 10日はFOMCを控えた「ブラックアウト」期間中であったため、止む無くFRBは米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス氏の“筆”を利用して、事前に「75bp(ベーシスポイント)の利上げ観測」を広める策に討って出たもよう。そのため、FOMCの結果自体に驚きはなかったうえ、FOMC後にパウエルFRB議長が「75bpの利上げ幅は極めて異例で、この幅が普通になるとは見込んでいない」と発言したこともあって、市場は一旦落ち着きを取り戻すかに思われた。
 ところが、である。16日の欧州時間入り直後にスイス中銀が予想外の大幅利上げを発表したことから、あらためて市場は騒然。スイスフランが急激に買い進まれ、同時に円買いも加速する事態となった。スイス中銀による想定外の決断が「すわ、日銀が政策方針を見直す可能性も」との思惑を誘ったわけである。

 もともと、ドル/円については5月24日安値からの切り返しが「昨年9月下旬を起点とする5波構成の強気相場」におけるマイナー級の『第5波』にあたると見ることもできることから、場合によっては直近高値=135.60円が“その終点”になったとの見方があった。つまり、一旦は大きく円高方向にゆり戻す(ドル/円が調整する)可能性があるとの見方が拡がっていたわけで、その矢先のスイスフラン急騰であったという事情もある。
 既知のとおり、16日には英中銀も25bpの利上げ実施を決定しており、まさに「利上げドミノ」といった様相を呈するなかで、翌17日に行われた日銀金融政策決定会合は大規模緩和を継続する方針をあらためて打ち出した。
 その結果、円は再び売り戻されて一時的にもドル/円は135円台を回復。FOMCの結果が明らかになる前から週末にかけて、ドル/円は画に描いたような「往って来い」の展開となったのである。結果論とは言え、スイス中銀サプライズ後の131円台半ばというのは絶好の買い場提供ということになった。「日銀が政策方針を見直すことはない」と冷静に判断できた向きには、大きなチャンスが転がり込んだということである。

 いわゆる「中銀ウィーク」を通過し、今週は比較的静かな週になると見られる。24日に国内で5月の全国消費者物価指数(CPI)の発表が予定されるが、その伸びが4月から大きく加速すると見る向きは少ない。また、22日にはパウエルFRB議長が米上院銀行委員会で証言を行う予定だが、FOMCを通過したばかりで特段の材料は出てきにくい。
 先週末にかけてドル/円が急激に値を戻したのは、前日に大きく積み増しされた円の買い持ち高を解消する動きによるところも大きかった。その意味でも、目先的にはドル/円の上値が先週15日高値の135.60円処で押さえられる可能性もあると見られる。

 より注目度が高いのは、やはり米・日株価が一定の戻りを試すかどうかという点であろう。そこは、先週末にかけて急落したNY原油先物価格の動向とそれに伴う米10年債利回りの動向にもよる。とりあえず、先週末は原油急落でインフレ懸念が一服し、ナスダック総合指数は反発している。本日(20日)は米株市場が休場となるため、まずは日経平均株価が先週を通じて1861円下げた分をどの程度取り戻すかがカギを握る。
 とりあえず、市場のリスク回避ムードが多少なりとも後退し、円買いと同時にドル買いの動きも一服すれば、ドル/円は134円台半ばから135円台半ばのレンジ内でもみ合う展開になるものと想定しておきたい。
 一方、ユーロ/ドルは依然として一目均衡表の日足「雲」下限の水準(=1.0570ドル処)で上値を押さえられており、今週は1.0500ドル処を軸とした1.0400-1.0600ドル処のレンジ内で推移すると見る。 

(06月20日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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