またしてもマーケットは“リスク選好姿勢”に包まれています｡
新たに湧き出た｢新型コロナウイルス｣への懸念を背景に､ドル円は本日オープニング直後には“108.730円”へと下値を拡大しています｡
今回の懸念は｢先が見えない｣という点が多分にありますので､“リスク回避→円買い”が囃されやすいのは否めないところがあります｡
ましてや『(発生源とされる)中国･武漢市の事実上封鎖』との報は､｢感染拡大を後退させる要因｣であると同時に､｢中国景気､ひいては世界景気の減速要因｣ともなり得るだけに､なおさらといえます｡
このため“主に株式”を中心として下落を誘いやすく､それが“さらなるリスク回避(円買い)”につながらないとも限らないだけに､注意が必要です｡
しかし忘れてはならないのは､当該懸念の発生前から｢上値が重かった｣という事実です｡
“110円台”へ駆け上がったドル円は､しかし“上値の重さ”を露呈し､その後の反落につながったのは記憶に新しいところです｡
つまり最も警戒すべき｢ポジションの傾き(今回の場合は円売り)｣は大したことはなく､つまり少々の下落では｢大きなストップロスは絡まない｣と考えることが可能ということになります｡
こうなると｢国内輸入筋のドル買いオーダー｣がさらに厚みを増す中､｢逆張りに動いた(高値で売った)個人投資家｣は“利益確定買い”を入れやすいと見られます｡
｢仕掛け的なドル売り｣は“孤立無援”となりやすく､｢そのツケが次第に回ってくる｣と考えるのが､何も“無理筋”な話ではありません｡
テクニカル的には“200/100週移動平均線(本日は109.65円水準)-109円ライン”は割り込んだものの､今朝方の安値は“100日移動平均線(同108.699円)”と重なる“1/8~1/17の61.8%押し(108.660円)”で下げ止まった格好になります｡
しかし仮に割り込んだとしても､まだ“200日移動平均線(同108.507円)/日足･一目均衡表先行スパン下限(同108.380円)”が控えています｡
そうした状況下で｢大きなストップロスは絡まない｣となると…?
｢(感染拡大の)歯止めの兆候｣が見えない状況では“急反発”は望むべくもありませんが､いくら｢イメージは下方向｣へ傾いているといっても“このまま下値追い”と見るのは早計｡
｢(無理仕掛けには)次第にツケが回る｣を根底に置きながら､神経質なマーケットと向き合いたいところです｡
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プロフィール
武市佳史（たけちよしふみ）
大阪府出身。ファイナンシャル・プランナー（AFP）。 日本におけるFX（外国為替証拠金取引）の草創期より業務に従事。現在ではマネーパートナーズのチーフアナリストとして、為替コラムの執筆やWebセミナーの講師を務めるだけでなく、日経CNBCを始めとする数々のメディアに出演・寄稿している。
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