先週に引き続きドルが上昇するトレンドが続いています。ユーロドルでドル高が進んでいましたが、ドル円が112円台に上昇したことで一段とドルの上昇が進み、ドルインデックスは99.90となり節目の100に近づきました。
ドルの上昇は新興国通貨でも進み、ドルトルコリラは0.61%、ドル南アランドは1.14%、ドルメキシコペソは0.74%上昇しています。
対ドルでは新興国通貨は下落していますが、ドル円が112円台に2%ほど上昇しているために、対円でトルコリラは1.2%、南アランドは0.7%、メキシコペソは1.2%上昇しています。
19日にトルコ中央銀行は政策金利の1週間物レポレートを0.5%引き下げて10.75%としました。6会合連続の利下げとなりましたが、利下げ幅が縮小され緩和局面が最終局面を迎えたのではないかとの観測が広まっています。
事前予想では0.5%の利下げが大勢でした。
声明では「インフレ見通しに影響を与えるすべての要因を考慮して、政策金利をより抑制された幅で引き下げることを決定した。インフレ見通しはおおむね一致していると」と述べました。
中銀はインフレ報告で2020年末のインフレ見通しを8.2%になると予測しています。しかし、1月のインフレ率は12.15%となっており1週間物レポレートを上回っているため実質金利(政策金利から前年比のインフレ率を引いたもの)のマイナスが継続しています。
トルコリラは金融緩和だけではなく地政学的リスクの高まりも下落要因になっています。19日にエルドアン大統領は、シリアのアサド政権軍が反体制派の拠点の北西部のイドリブ県への侵攻を阻止するために、トルコ軍が作戦を開始するのは時間の問題だと語りました。
2月3日にトルコ軍が砲撃を受けて民間人を含む8人が死亡したことで、トルコはイドリブ県の54か所で報復攻撃を行いました。
シリア内戦の解決に向けて協力してきたトルコとロシアですが、イドリブ県ではロシアが支援するアサド政権軍が攻勢をかけており、トルコが支援する反体制派が窮地に追い込まれておりトルコとロシアの関係が険悪になっています。
解決に向けてロシアとトルコの協議は続いていますが、外相会談で即時停戦を求めるトルコに対してロシアとの隔たりは大きく、シリアでロシアとの妥協によって停戦が成立しなければリラの下落材料として続きます。
新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
TRY/JPY 4時間足BIDチャート
チャートはトルコリラ円の4時間足です。18.05円がサポートされ、18.377円がレジスタンスとなり2月以降このレンジがつづいていました。
昨日この18.37円を上抜けして一時18.402円まで上昇しました。
しかしそのレベルを維持できずドル円が112円台に上昇していますが、トルコリラ円は終値で18.336円をつけました。
18.40付近がレジスタンスになると、18.22円付近(一目均衡表の雲の上限)に下落するのではないかと思われます。
18.40付近を抜けられるか否かが上昇の継続を左右するポイントになります。