今週は新型コロナウィルスの感染拡大が加速する中で世界的に株価が下落し、債券利回りが低下しリスク回避の流れとなっています。リスク回避の流れは新興国通貨の下落を促しています。
先週も書きましたが2月19日にトルコ中央銀行は政策金利の1週間物レポレートを0.5%引き下げ10.75%としました。予想通りの利下げではありましたが、市場はここのところ上昇に転じたインフレ率を加速する材料になるのではないかとの懸念も台頭しています。インフレ率は2019年10月に8.55%まで低下しましたが、1月には12.15%まで上昇しています。今回の声明文ではインフレ率の上昇の動きについては言及されず、市場はそのことにやや違和感を持っているのかもしれません。
経常収支に関しては、前回声明文では政策の支援的な貢献により緩やかな改善傾向を維持していると述べましたが、今回は融資の拡大が対外バランスとインフレに対する影響を注視するとしてやや警戒感を示しています。
エルドアン大統領が進める拡張的な財政政策と金融緩和によってトルコ経済は回復の方向に向かっています。しかし民間消費が拡大しており、輸入の増加によって貿易収支の悪化リスクをはらんでいます。市場はそこら辺を警戒するとともに、先週書いたように地政学的なリスクの拡大によってトルコリラは下落となっています。
新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
26日にムブウェニ南アフリカ財務相は予算案に関する演説を行い、財政赤字を抑えるために公共部門の賃金を引き下げる方針を示しました。4月からの新年度の予算で財政赤字がGDP比で6.8%と18年ぶりの水準に拡大するとの見通しを示しました。これを受けて今後3年で公務員の賃金支払いを総額1600億ランド(105億ドル)削減する計画を示しました。
発表を受けてドルランドは15.32付近から15.10付近へ下落(ランドは上昇)、ランド円は7.182円から7.33円付近に上昇する局面もありましたが、ランドの上昇は長続きしませんでした。
賃金支払いの削減には実効性に疑問があり、賃金カットを強行すれば公共施設で大規模なストライキが発生する可能性があり、COSATU(南アフリカ労働組合会議)は賃金削減は決して容認しないと宣言しています。
ドルランドは週初の1ドル=15.003ランド付近から一時15.52ランドまで上昇(ランドは下落)し昨年8月のドルの高値付近に上昇しています。ここを上抜けすると2018年9月の高値15.697ランドが次の節目となります。
ドルランドは15.50ランド付近が抑えられるかどうかがポイントになります。
ZAR/JPY 4時間足BIDチャート
ランド円は昨日11月以降サポートされていた7.198円付近を下抜けして7.048円まで下落しました。
ここは2019年10月31日の安値7.115円を一時下抜けし、10月2日の安値6.968円付近を目指す動きになっています。
7.01円付近は2019年8月26日の安値6.769円~12月27日の高値7.731円のフィボナッチ・リトレースメント76.4%に当たり、節目の7円付近が中期的なサポートとして意識されます。
このレベルが維持できれば7~7.2円のレンジ、7円を下抜けした場合は昨年8月26日の安値6.769円を目指す動きと予想します。